生前に財産の寄付をする生前の寄付に対し、亡くなった後に財産を社会に役立てる方法として利用されるのが「遺贈」です。
遺贈とは、遺言によって財産を特定の人や団体に提供することをいいます。遺贈の相手は相続人である必要はなく、公益法人や自治体などの団体を指定することも可能です。
そのため、相続人以外の団体に財産を残したい場合には、遺言による遺贈が利用されます。
遺贈による寄付とは
遺贈による寄付とは、遺言によって自分の財産を公益団体などに引き継いでもらう方法です。
たとえば、次のような内容の遺言を作成することで寄付を行うことができます。
- 特定の団体に一定の金額を寄付する
- 自宅不動産を団体に遺贈する
- 残った財産の一部を寄付する
このように、遺言を利用することで、亡くなった後の財産の使い道を自分の意思で決めることができます。
遺贈の対象となる団体
遺贈による寄付の対象となる団体には、次のようなものがあります。
- 国や地方公共団体
- 公益社団法人・公益財団法人
- 社会福祉法人
- 認定NPO法人
これらの団体は、教育、文化、医療、福祉などの公益目的の活動を行っており、遺贈による寄付の受け入れを行っている場合もあります。
団体によっては、遺贈の相談窓口を設けていることもあり、遺言の内容について事前に相談できる場合もあります。
遺言信託という方法
遺贈による寄付を行う場合には、信託銀行などが提供する遺言信託という仕組みを利用することもあります。遺言信託とは、遺言の作成や保管、相続手続の実行などを金融機関がサポートする仕組みです。
遺言のなかで寄付を指定しておくことで、亡くなった後に金融機関が遺言の内容にしたがって寄付の手続きを行います。
ただし、遺言信託はあくまで遺言の執行を支援する仕組みであり、遺言そのものの効力は遺言書によって決まります。
遺贈をする際の注意点
遺贈によって寄付を行う場合には、いくつか注意すべき点があります。
まず、寄付を受ける団体がその財産を受け取ることができるかどうかを確認する必要があります。不動産などの場合には、団体が管理できないという理由で受け取りを断られることもあります。
また、遺言の内容が不明確である場合には、遺言の執行が難しくなることがあります。そのため、寄付の内容や対象となる団体を具体的に記載することが重要です。
さらに、遺贈の方法によっては相続税の取扱いが変わることもあります。
寄付と税制の関係
相続によって取得した財産を公益団体などに寄付した場合には、一定の条件を満たすと相続税が課税されない制度があります。
この制度は、公益目的の寄付を促進するために設けられているものです。
ただし、この制度を利用するためには、寄付の対象となる団体や寄付の方法などについて一定の要件を満たす必要があります。
また、相続税の申告期限までに寄付を行うことなど、手続上の条件も定められています。
不動産のみの遺産の場合
自宅や土地などの不動産だけを所有しており、現金がほとんどないという状況で、不動産を寄付したいという遺贈の場合はどうなるでしょうか。
多くの団体では、現金による寄付は受け入れていても、不動産の寄付については慎重な対応をとっています。不動産は維持管理の負担が生じるため、団体の目的や管理体制によっては受け入れることが難しい場合もあるからです。
そのため、不動産のみを所有している場合には、不動産を売却して現金化したうえで寄付する方法が検討されることが多いでしょう。
遺言のなかで、不動産を売却して得た金銭を特定の団体に寄付するという内容を定めておくとスムーズに寄付へ進むことができます。
また、不動産そのものを遺贈する場合には、寄付先の団体がその不動産を受け取ることができるかどうかを、事前に確認しておくべきです。(一部の団体は、寄付された不動産を団体自らが現金化する手続きをするケースもあります。)
遺言による寄付を考える際には、単に寄付先を決めるだけではなく、財産の種類や処分方法まで含めて検討しなければなりません。
