048-970-8046 メールでお問い合わせ

せんげん台駅西口1分

土日祝営業 年中無休

048-970-8046

8:30〜18:30

相続登記義務化について 掲載メディア 感染症対策について

相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《相続財産と個人財産を守る仕組み ― 財産分離とは》

相続越谷はせんげん台駅1分の司法書士・土日祝営業

財産分離

財産分離とは、相続人の財産と被相続人の財産を切り離し、公平な清算を行うための制度です。債権者や受遺者の請求により開始され、相続財産から優先的に弁済を受けられる仕組みで、相続人の個人財産を守る効果もあります。

01相続財産と個人財産を守る仕組み ― 財産分離とは

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の財産だけでなく、借金などの負債も一緒に引き継ぐのが原則です。このとき、相続人が何も手続きをせずに遺産を使い始めると「単純承認」となり、被相続人の借金も自分の財産と同じように返済する義務を負うことになります。

こうしたリスクを避ける方法として、よく知られているのが相続放棄や限定承認ですが、実はもう一つ、「財産分離」という制度があります。
財産分離とは、相続債権者(被相続人にお金を貸していた人)や受遺者(遺言で遺贈を受ける人)を保護するための制度で、被相続人の財産と相続人の財産を切り離すことを目的としています。

財産分離の目的

民法941条は、「相続債権者または受遺者は、相続開始から3か月以内に、家庭裁判所に財産分離を請求できる」と定めています。

つまり、被相続人に多額の借金があった場合などに、相続債権者が「相続人の財産と混ざってしまうと取り立てができなくなる」と判断したときに、相続財産を独立させることができる制度です。

この仕組みの本質は、「公平な清算」です。
相続財産を独立させることで、被相続人にお金を貸していた債権者が、相続人の私的財産に影響されずに、被相続人の遺産から返済を受けられるようにする一方で、相続人の固有財産を保護します。

逆に言えば、財産分離は相続人のためだけの制度ではなく、債権者・受遺者の保護制度でもあるのです。

民法941条
1. 相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
2. 家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、5日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
3. 前項の規定による公告は、官報に掲載してする。

財産分離の手続と期限

財産分離を求めることができるのは、「相続債権者」または「受遺者」に限られます。
これらの人は、相続開始を知ったときから3か月以内(または相続開始後3か月以内)に、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

申立てが認められると、家庭裁判所は公告を行い、他の債権者や受遺者にも一定期間内に申立てを促します。この公告期間は原則2か月以上で、官報に掲載されることによって全体に告知されます。

この仕組みにより、一部の債権者だけが得をすることを防ぎ、全ての利害関係者に公平な弁済の機会を与えるようになっています。

財産分離の効果

民法942条では、財産分離の効果について以下のように定めています。

民法942条
財産分離の請求をした者及び前条第2項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先だって弁済を受ける。

これは非常に重要な規定で、財産分離の手続きを行った債権者や受遺者は、相続人自身の借金の返済よりも優先して、被相続人の遺産から弁済を受けることができるのです。

たとえば、被相続人の財産が500万円で、借金が800万円ある場合、相続人がそのまま承認してしまうと自分の財産からも返済する必要があります。

しかし、財産分離が行われれば、債権者はその500万円を相続財産として優先的に回収でき、相続人の個人資産には影響しません。

財産分離が利用されるケース

実際には財産分離の申立て件数は少ないのですが、たとえば次のような場合には有効な手段となります。

  • 被相続人に複数の債務があり、相続人が放棄せずに承認している場合
  • 債権者が相続人の個人資産と混同されるのを防ぎたい場合
  • 受遺者が遺贈を受けられないおそれがある場合

こうしたケースでは、財産分離の申立てをすることで、他の債権者よりも優先的に弁済を受ける可能性が生まれます。

財産分離とほかの制度との違い

限定承認や相続放棄と違い、財産分離は相続人ではなく債権者側からの請求によって開始する制度です。
したがって、相続人が何も手続きをしなくても、債権者の申立てによって相続財産が独立的に管理されることになります。

また、財産分離は「相続財産の管理・清算」に関する制度であり、相続人の地位自体を変えるものではありません。その意味で、財産分離は「相続人を守る」というよりも、「被相続人に関係する利害関係者の公平を図る制度」と位置づけられます。

相続放棄や限定承認に比べるとあまり知られていませんが、被相続人の債務と相続人の財産を区別し、特に相続債権者が複数存在する場合や、遺贈の実現を守りたいときに効果を発揮します。

相続の現場では、放棄・限定承認・財産分離のいずれが適切かは、ケースによって異なります。もし相続人や債権者の立場で迷った場合は、早めに司法書士などの専門家に相談し、最も安全で確実な方法を選ぶことが大切です。

02財産分離後の管理と効力

相続が始まり、相続人や債権者の立場で「財産分離」を申し立てた後、その相続財産をどのように扱うかが重要になります。民法第943条〜第945条では、この「財産分離請求後の相続財産の管理」について定められています。

財産分離の目的は、相続人の個人財産と被相続人の財産をきちんと分けて清算することにありますが、その後の管理方法を誤ると、せっかく分けた意味がなくなってしまいます。家庭裁判所は、財産分離の請求があった場合に、相続財産の保全や管理に必要な処分を命じることができます(民法943条)。

たとえば、被相続人の預貯金や不動産を仮に凍結したり、専門家を「相続財産管理人」として選任して、債権者への弁済や財産の調査を進めたりする措置です。これは、財産分離の請求をしただけでは財産が自動的に守られるわけではないことを意味します。実際に保全・管理を行うのは、家庭裁判所の判断とその後の管理人の行動によって支えられています。

民法第943条
1. 財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2. 第27条から第29条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

民法第944条
1. 相続人は、単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理をしなければならない。ただし、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したときは、この限りでない。
2. 第645条から第647条まで並びに第650条第1項及び第2項の規定は、前項の場合について準用する。

民法第945条
財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

善良な管理者の注意義務

民法第944条では「財産分離の請求後に相続人が財産を管理する場合の義務」が規定されています。
相続人が単純承認をした後でも、財産分離の請求があった際には、その財産を善良な管理者の注意をもって扱わなければなりません。
つまり、被相続人の財産を自分のもののように自由に処分してはいけないということです。

この注意義務は、民法918条(相続財産の保存行為)や926条(限定承認における管理)、940条(放棄者の管理義務)と同じ水準のものです。相続財産を「他人の財産」として誠実に扱う義務があるという点で共通しています。

たとえば、亡くなった方の家に残る家財道具や不動産を、他の債権者の権利が未確定な段階で勝手に売却したり処分したりすれば、後でトラブルになるおそれがあります。
このような行為は「管理義務違反」とされ、場合によっては損害賠償責任を負うこともあります。
したがって、財産分離の手続き中は、相続人であっても慎重に対応しなければならないのです。

管理人の選任と家庭裁判所の役割

民法第943条2項・第944条に基づき、家庭裁判所は必要に応じて相続財産管理人を選任できます。この管理人は、財産の目録作成、債権者への通知、債務の弁済、財産の処分などを行います。
いわば「財産分離後の執行責任者」です。

裁判所が選任する管理人には、弁護士や司法書士など法律実務に詳しい専門職が選ばれることが多いです。この管理人には、委任に関する民法645条〜647条・650条の規定が準用されます。
つまり、報告義務・善管注意義務・費用償還請求権などが認められ、報酬や立替費用の精算も可能です。この規定は、管理人が公正・中立な立場で職務を遂行することを保証するための仕組みです。

財産分離の効力

財産分離の効力については民法942条に明記されています。財産分離を請求した債権者や受遺者は、他の相続人の個人債権者よりも優先して相続財産から弁済を受けることができます。

これは、相続財産が混同して債権回収が不可能になるのを防ぐための重要な制度です。
たとえば、亡くなった人が多額の借金を抱えていた場合でも、財産分離を申し立てれば、相続人の個人財産を守りつつ、被相続人の財産から債権者が公平に回収できるようになります。

この優先弁済の原則があるため、相続財産に不動産や預貯金が含まれている場合には、債権者の立場からも極めて重要な手続きです。

不動産の登記による対抗要件

民法945条では、不動産の財産分離を他の権利者に主張するためには、登記を行うことが必要であると定めています。
たとえば、被相続人名義の土地や建物について財産分離が認められても、それを登記しなければ第三者に対抗できません。つまり、「登記=法的な保護の確定」という仕組みになっています。

この登記を怠ると、あとから別の債権者や相続人が権利を主張してきた場合に、財産分離の効力が及ばないおそれがあります。財産分離の実務では、登記のタイミングと内容が非常に重要であり、司法書士の専門知識が活かされる場面でもあります。

03財産分離後の支払いと優先順位

財産分離の手続きが始まると、次に問題になるのは相続債権者や受遺者に対して、どのように弁済(支払い)を行うかという点です。相続が開始すると、被相続人(亡くなった方)の債務は相続財産に属しますが、これをそのままにしておくと、誰がどれだけ支払われるのかが曖昧になり、争いが生じやすくなります。

そのため民法は、相続債権者や受遺者が公正に弁済を受けられる仕組みを整えています。
第946条〜第948条では、財産分離のあとに行われる弁済に関するルールが定められています。これらは、相続人・債権者・受遺者それぞれの権利を守るための「最終整理手続き」といえる部分です。

民法946条
第304条の規定は、財産分離の場合について準用する。

民法947条
1. 相続人は、第941条第1項及び第2項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2. 財産分離の請求があったときは、相続人は、第941条第2項の期間の満了後に、相続財産をもって、財産分離の請求又は配当加入の申出をした相続債権者及び受遺者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
3. 第930条から第934条までの規定は、前項の場合について準用する。

民法948条
財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。この場合においては、相続人の債権者は、その者に先立って弁済を受けることができる。

民法304条
1. 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2. 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

物上代位の規定の準用

第946条は、物上代位という少し難しい概念を扱っています。これは、相続財産の中にある特定の物が失われた場合に、その代わりに得た金銭や保険金などに権利を及ぼせるというルールです。
たとえば、被相続人の所有していた建物が火災で焼失し、保険金が支払われたとします。
その保険金は、もともとの建物の「代わりの財産」として、相続債権者や受遺者が弁済の対象にできるのです。

また、被相続人の所有物を売却した場合にも、その売却代金が物上代位の対象となります。
要するに、第946条は「元の財産が消えても、その代わりに得たお金までをも弁済の範囲に含めることができる」と定め、債権者の保護を強化しているのです。

相続債権者および受遺者への弁済手続き

第947条では、財産分離請求後に行われる弁済の流れが規定されています。この条文の目的は、すべての債権者や受遺者が公平に弁済を受けられるようにすることです。
相続人は、財産分離の請求が行われてから一定期間(配当加入の申出期間)が終了するまでの間、勝手に支払いをしてはいけません。この期間が過ぎると、債権者全員の債権額に応じて、相続財産をもとに弁済を行います。
つまり、「誰がどれだけ支払われるか」は、債権の額と順位に基づいて公平に決められるということです。

さらに、民法947条3項では、優先権を持つ債権者(担保付き債権者など)の権利を害してはいけないと定めています。
たとえば、抵当権付きの不動産がある場合には、抵当権者がまず弁済を受け、その残りが他の債権者に配分されます。

このように、財産分離の弁済は「先に申出をした者が勝ち」という単純なものではなく、民法上の優先順位に従って厳格に処理されるのです。

相続人の固有財産からの弁済

第948条は、一見すると財産分離とは関係が薄いように見えますが、実は非常に重要な規定です。相続人自身が自分の財産(固有財産)から弁済をするケースを想定しています。

たとえば、相続財産だけでは債務をすべて返済できない場合、相続人が自分の財産を使って弁済することがあります。
このとき、相続人は他の債権者よりも優先して支払いを受けることができます。

つまり、自分の財産を使って相続債務を清算した場合、その分を相続財産から先に回収できるということです。これは一見、相続人に有利なように見えますが、裏を返せば「自分の財産を使ってまで相続債務を整理した場合の救済措置」とも言えます。
民法は、相続債権者と相続人の利益のバランスを取るため、このような優先的な取扱いを認めているのです。

公平性を保ための注意点

財産分離後の弁済では、相続債権者・受遺者・相続人それぞれが利害関係を持っています。そのため、家庭裁判所の関与や専門家の監督のもとで進められるのが原則です。

また、弁済は単に「支払う」という行為にとどまりません。相続財産の評価、債権の確定、登記や公告など、複雑な手続きが必要になります。特に不動産や保険金など、代替財産(物上代位の対象)が絡む場合は、専門知識が欠かせません。

さらに、弁済の際に特定の債権者だけを優遇すると「不当弁済」として無効とされるおそれがあります。公平を欠く支払いは、後の訴訟や相続人間の紛争につながるため、慎重に行わなければなりません。

04第二種財産分離―財産分離の完結と債権者保護の仕組み

相続が発生し、財産分離の手続きが進んでいくと、最終段階では「弁済をどのように行うか」「どこまで財産を分離できるのか」という問題が生じます。民法第949条・第950条は、この最終段階における手続きを定めた規定です。

財産分離の目的は、相続人の固有財産(自分の財産)と被相続人の財産を混ぜないことにありますが、債権者や相続人の関係が複雑な場合、どちらの財産から支払いがなされるのかを明確にする必要があります。

民法949条
相続人は、その固有財産をもって相続債権者若しくは受遺者に弁済をし、又はこれに相当の担保を供して、財産分離の請求を防止し、又はその効力を消滅させることができる。ただし、相続人の債権者が、これによって損害を受けるべきことを証明して、異議を述べたときは、この限りでない。

民法950条
1. 相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2. 第304条、第925条、第927条から第934条まで、第943条から第945条まで及び第948条の規定は、前項の場合について準用する。ただし、第927条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。

財産分離の請求を防止する制度

第949条は「財産分離の請求の防止等」に関する規定です。ここでは、相続人が自分の財産(固有財産)を使って相続債権者や受遺者に弁済したり、担保を提供したりすることで、財産分離の請求を防げると定めています。

たとえば、被相続人の債権者が「財産分離を求めます」と申し立てる前に、相続人が自ら債務の弁済を行えば、もはや財産分離の必要はなくなります。これは「自分で支払うなら、裁判所の手続きを通してまで分離する必要はない」という合理的な仕組みです。

ただし、注意すべき点として、債権者が損害を受けるおそれがある場合には、相続人が弁済してもその効果を否定される可能性があります。つまり、形式的な支払いだけではなく、実質的に債権者の利益を害していないかが重視されるということです。

また、相続人が支払いを済ませた、あるいは担保を提供したと主張しても、債権者が異議を申し立てることができます。この場合、家庭裁判所が弁済の有効性を判断し、債権者の立場を守る仕組みになっています。

相続人の債権者による財産分離請求

第950条では「相続人の債権者による財産分離」が定められています。ここでは、被相続人の債権者ではなく、相続人自身の債権者が登場します。

たとえば、相続人Aが生前に多額の借金を抱えていた場合、Aの債権者(たとえば金融機関など)は、Aが被相続人の財産を相続したことで自分の債権回収が不利になる可能性があります。
もし相続財産とAの固有財産が混ざってしまえば、どちらが誰のものかが不明確になり、債権回収が困難になるおそれがあります。

このような事態を防ぐため、民法950条は「相続人の債権者」が家庭裁判所に対して財産分離を請求できる権利を認めています。つまり、被相続人の財産と相続人の財産をはっきり区別することで、相続人の債権者も安心して回収ができるようにしているのです。

民法950条の第二種財産分離

第950条で定められているのは「第二種財産分離」と呼ばれるものです。第一種財産分離(第941条以下)は被相続人の債権者や受遺者が申し立てるものですが、第二種は相続人の債権者が申し立てるものです。相続人の債務超過(借金が多い)場合、被相続人の財産が巻き込まれるのを防ぐために行われます。

たとえば、相続人Bが借金まみれで破産寸前というときに、Bが親の遺産を相続すると、その遺産までBの債権者に差し押さえられてしまう可能性があります。これでは、他の共同相続人や被相続人の債権者に不利益が生じます。

そこで、家庭裁判所の判断によって、被相続人の財産を相続人の債務から切り離す=第二種財産分離を行うのです。

第二種財産分離の要件と効果

第二種財産分離を請求できるのは、相続人の債権者(あるいは相続開始後にその地位を得た者)です。請求の時期は、相続人が限定承認を行える期間、つまり「相続開始を知ってから3か月以内」とされています。この間に家庭裁判所に申立てを行い、相続人の債務が相続財産と混ざるおそれがあることを証明しなければなりません。

財産分離が認められると、被相続人の財産と相続人の固有財産は法律上明確に区別されます。
このため、相続人の債権者は、相続人の個人財産からしか弁済を受けることができず、相続財産には手を出せなくなります。

逆に、被相続人の債権者は相続財産を優先的に取り扱えるため、両者の利害が整理されるのです。
また、この手続きには、物上代位(第946条)、公告(第927条)、配当の原則(第948条)など、これまでの財産分離に関する規定が準用されます。
つまり、第二種財産分離も第一種と同様に、厳格な裁判所手続きのもとで行われるものです。

実務におけるポイント

実務では、第二種財産分離の申立てが行われるケースは多くありません。なぜなら、相続人の債権者が実際に家庭裁判所へ申し立てを行うためには、相続人の資産状況や相続関係を詳細に把握しておく必要があるからです。しかし、破産・債務整理などの場面では、この制度が非常に有効です。

たとえば、親の遺産が多額で、相続人が自己破産中の場合、相続財産をその破産財団から切り離すためにこの手続きが使われることがあります。

その結果、相続人の債権者は自分の債権を回収しやすくなり、他方で被相続人の債権者も相続財産を確保できるという、公平な清算が実現されます。

相続ガイド相続・遺言・相続放棄を分かりやすく解説

相続・遺言・相続放棄について、分かりやすく解説した「相続ガイド」です。
民法における相続のルールを、条文をもとに解説しています。

気になるキーワードで検索をして、お求めの解説を探せます。

当サイトの相続ガイドは、掲載日時点における法令等に基づき解説しております。掲載後に法令の改正等があった場合はご容赦ください。

相続・遺言・相続放棄は
相続の専門家へご相談ください
8:30〜18:30 土日祝営業

相続の初回相談は無料です