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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《相続とは》

相続越谷春日部の美馬司法書士行政書士(せんげん台駅1分/土日祝営業)

相続とは

相続とは、亡くなった方の財産を配偶者や子などが相続人となって引き継ぐことです。相続は被相続人が亡くなったことにより当然に発生し、自動的に相続人に受け継がれることを意味しますが、相続人が複数人いたり、相続財産がプラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も対象となります。相続の手続きは相続人にとって大きな負担となる場合もあるため、早めに取り掛かることが重要です。

01相続とは

相続について、民法の法文をもとに解説します。はじめて相続をする方に向けた解説をしていますので、できるだけわかりやすい言葉で表現するようにしています。当事務所は相続・遺言・相続放棄を専門とした司法書士・行政書士事務所です。相続をするにあたって、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

相続とは

ある人が亡くなったとき、その人の財産や権利・義務を残された家族や親族などが受け継ぐことを指します。亡くなった人は被相続人といいますが、被相続人の財産は、法律で定められた相続人に分配され、遺産となって引き継がれます。

相続の開始と場所

第882条 相続は、死亡によって開始する。

相続の開始とは、法律上、相続がはじまることを指し、具体的には被相続人の死亡によって相続が開始されます。相続開始によって、被相続人の財産や権利・義務が相続人に引き継がれることが可能になります。

被相続人の死亡は、自然死(病気や老衰など)や事故死のほか、法律上の死亡と見なされる「失踪宣告」も含まれます。生死不明の者に対する失踪宣告は、失踪者を死亡したとみなすことで相続が開始されます。認定死亡(生死を確認できない場合に、行政が死亡したと認定する制度)を受けた者も相続が開始されます。

通常失踪:行方不明となってから7年間が経過した場合。
特別失踪:戦争や大災害など危難に遭遇し、その後1年以上生死が不明な場合。

第883条 相続は、被相続人の住所において開始する。

相続が開始する場所についてを規定しています。相続が開始される場所は、被相続人の財産の所在地などに関わらず、死亡当時の住所です。相続に関する手続きや紛争の裁判管轄を統一する目的で規定されています。たとえば、埼玉県で暮らす者が北海道で死亡した場合、相続は所在地である埼玉県で開始されます。

相続に関する手続き(例えば、遺言書の検認や遺産分割調停など)が必要な場合、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で行うことになります。

相続に関する争いが生じた際の裁判所の管轄

相続に関する争いが生じた場合や、遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申立てることができます。

申立て先の家庭裁判所:申立ては、通常、被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所に行います。例えば、被相続人が東京都に住んでいた場合は、東京都を管轄する家庭裁判所が対応します。

不動産が他県にある場合:不動産が他の地域にある場合でも、被相続人の住所地を基準とするため、別途手続き場所を変更する必要はありません。

相続開始後の主な手続き

相続開始が確認された後、相続人はさまざまな手続きが必要です。
さまざまなケースがあるため、あくまでも一例ではありますが一般的な流れは次のとおりです。

  1. 相続人と相続財産の調査
    まず、誰が相続人であるかを確認し、被相続人が残した財産(プラスの財産)や負債(マイナスの財産)を調査します。
  2. 遺言書の確認
    遺言書がある場合、遺産分割の内容が遺言書にしたがって進めます。家庭裁判所で遺言書の検認が必要な場合もあります。
  3. 相続放棄・限定承認の検討
    相続人は、被相続人の負債も相続することになります。負債が多い場合は、相続放棄や限定承認(簡単にいうと、財産の範囲内での負債返済)を選択することが可能です。これらの手続きには、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で申請する必要があります。
  4. 遺産分割協議
    相続人全員が協議し、遺産の分割方法を決定します。法定相続分に従って分割することもありますが、相続人全員の合意があれば異なる分割方法も可能です。
  5. 名義変更手続き
    不動産や預金などの名義を変更し、相続人に正式に相続財産を引き継ぎます。

特に注意が必要なのは、相続放棄の期限です。相続放棄や限定承認は、相続開始を知ってから3か月以内という期限があるため、財産や負債の内容は早めに確認することが重要です。

時系は参考です。一例として、一般的な時系を参考にしています。

02相続権や相続財産を回復する権利

相続回復請求権

不当に相続権を奪われた正当な相続人が、その相続権や相続財産を回復するために行使できる権利を相続回復請求権といいます。

第884条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。

相続回復請求権の意義

本条は、相続回復請求権が5年または20年の制限があることを規定しています。相続回復請求権とは、相続人ではない者が相続財産を占有している場合に、真正の相続人が相続人としての法的地位を回復するための制度です。

原告と被告の適格

相続回復請求権の原告適格を有しているのは、相続権を侵害されている真正の相続人です。相続回復請求の相手方は、相続回復請求をされることによって有利であるという考えもできます。判例では、表見相続人は、自らが相続人ではないことを知っているか、または相続権を有する根拠がないと認識しているとき、その表見相続人に対する請求は本条の消滅時効に服しないとしています(最大判昭和53年12月20日)。さらに、表見相続人によって排除された共同相続人が、共有持分の登記を求める請求も、本条の相続回復請求であるとして、次のように運用されています。

  1. 財産を支配している一部の共同相続人が、他にも共同相続人がいることを知っていて、相続財産のうち一部の者の本来の持分を超える部分が、他の共同相続人の持分であると知りつつ、本来の持分を超える部分も自分の持分だと主張していた場合には、相続財産を支配している共同相続人に対する請求は、相続回復請求権にあたらない。
  2. 相続財産を支配している共同相続人が、他にも共同相続人の存在を知らずに、明らかな相続人である事由がなく、本来の持分を超える部分も自分の持分だと主張していた場合も相続回復請求権にあたらない。

別の判例では、他の共同相続人の存在を知らず、善意かつ合理的事由があったことの主張と立証責任は、相続侵害の開始時点であるとしています(最一小判平成11年7月19日)。

表見相続人から相続財産を譲り受けた第三取得者に対する請求が、相続回復請求権にあたるかは明確ではないとされていますが、旧民法下の判例で、相続回復請求権にあたらないとされました(大判昭和4年4月2日)。相続回復請求権にあたらない場合、第三取得者へ相続財産を譲渡した表見相続人が、善意かつ合理的事由がなかったとして時効を援用できない場合に、第三取得者も同様に援用できないとしています(最三小判平成7年12月5日)。

なお、表見相続人とは見かけ上は相続人であると判断されるものの、実際には正当な相続権がない人を指します。

相続回復請求権の時効

相続権を侵害された事実を知った時とは、真正相続人が、自分が真正相続人であり相続から排除されていることを知った時点です。つまり、相続を知っただけではなく、自分が相続人であることを知り、さらに相続から排除されていることを知らなければなりません。

また、相続が開始になった時点から20年が経過すれば、相続権を侵害された事実を知っているかどうか、の問題は関係なく、相続回復請求権は時効となって消滅し行使できなくなります。

表見相続人の取得時効

表見相続人は消滅時効の期間が進行している間の取得時効(権利を取得すること)を否定した判例がありますが、現在では、取得時効を肯定した見解も有力です。

相続回復請求権が必要になるケース

  1. 非相続人が相続手続きをした場合
    被相続人の親族でない人が偽造された遺言書などを使って財産を相続しようとした場合。
  2. 他の相続人による単独占有
    兄弟姉妹などの相続人の一人が、他の相続人の同意なく財産を独占した場合。
  3. 相続財産の贈与や売却
    不法占有者が第三者に相続財産を贈与または売却した場合でも、正当な相続人は相続回復請求権を行使できます。

03相続の効力

相続の効力とは、被相続人の財産や権利・義務が相続人にどのように移転されるか、その影響や法律的な効力が発生することです。相続の効力には、法律で定められた権利義務の承継や、相続人の権利の範囲、相続財産の分割などが含まれます。

相続の一般的効力

第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

相続人は相続が開始すると、被相続人の財産について、すべての権利義務を相続します(包括承継といいます)。すべての権利義務というのは、預貯金や不動産はもちろん、被相続人に借金があった場合に、借金を弁済する権利義務も相続するということになります。さらに、財産法上の法的地位やそれにかかわる事情も含まれます。たとえば、売買契約の売主で契約の債務を果たしていなかった場合に、相続人は契約上の地位を承継して、売主として買主との関係を引き継ぎます。

ただし、権利義務の性質上、被相続人しか持つことができないもの(被相続人の一身に専属したもの)は、権利義務から除かれます。被相続人しか持つことができないものとは、親権や扶養義務、代理権、雇用の権利や義務、資格、生活保護の権利、公営住宅の使用権などです。

なお、ゴルフクラブの会員権の扱いは、会則などに会員としての相続に関する規定がなくても、会員としての地位の譲渡に関する規定がある場合には、その規定に準じた手続きによって、会員としての地位を承継できるという判例があります(最三小判平成9年3月25日)。

被相続人の死亡を原因としても契約または法の規定によって相続人である者が固有の権利として取得するものは、本条の一切の権利義務に含まれません。なぜなら、固有の権利は相続財産ではないからです。

死亡退職金や生命保険の相続

死亡退職金とは、従業員の死亡に際し勤務先から支払われる退職金ですが、受け取る権利を持つ者の範囲や順位が定められています。判例では、勤務先の規定に基づいて支給された死亡退職金について、受給者である遺族が自己固有の権利として取得するとしました(最一小判昭和55年11月27日)。また、退職金支給の規定がない財団法人が支給した死亡退職金についても、財団法人の規定に基づいて支給同様に受給者である遺族が自己固有の権利として取得するとしました(最三小判昭和62年3月3日)。

生命保険については、保険金の受取人を遺族のうちの特定の者が指定されていた場合には、その指定された者が固有の権利として生命保険金を取得します。判例で、生命保険金の受取人に『相続人』という指定があった場合にも、相続人は固有の権利として生命保険金を取得しています(最三小判昭和40年2月2日)。このとき、相続人が複数あった場合に、『相続人』という指定は民法427条にいう『別段の意思表示』にあたるとして、各相続人は相続分の割合によって保険金請求権を取得するとしました(最二小判平成6年7月18日)。

また、保険金受取人の指定がされていない損害保険契約で『保険金受取人の指定がないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う』という旨の約款条項により保険金が支払われた判例(最二小判昭和48年6月29日)がありますが、受取人は原則、固有の権利として保険金を取得すると解されています。

相続の効力の主な内容

プラスの財産とマイナスの財産

相続人は、被相続人が持っていた財産だけでなく負債も同様に引き継ぎます。そのため、相続する財産よりも負債が多い場合には、相続放棄や限定承認を検討することが多いでしょう。

相続分

各相続人の権利の範囲(相続分)は、民法で定められた法定相続分や、被相続人が残した遺言書による指定相続分にもとづいて決定します。法定相続分は相続人の関係によって異なり、遺言書がある場合には、その内容が優先されます。遺言書に分割割合が記されていても、相続人全員が合意することで遺言書の内容とは異なる分割をすることも可能です。

遺産分割の効力

相続財産は相続人らの話し合い(遺産分割協議)によって分割されますが、分割の前であっても法的な効力はすでに生じています。遺産分割が行われると、各相続人が相続財産を単独で所有することになります。遺産分割後は、相続財産の各部分についての権利が確定します。

相続放棄・限定承認の効力

相続人が相続放棄を行うと、その相続人ははじめから相続人でなかったとみなされ、被相続人の財産や負債を一切引き継ぎません。また、限定承認を行う場合は、相続した財産の範囲内でのみ負債を支払う義務を負うことになります。これらは相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があり、家庭裁判所で手続きします。

相続の効力の例外

生前贈与などの特別な受益がある相続人がいる場合は、特別受益分を相続分から控除する調整が行われます。
さらに、被相続人の財産の維持や増加において、特に貢献した相続人がいる場合、その相続人の寄与分を加味して相続分を算出することもあります。

04共同相続の効力

共同相続の効力

第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

本条は、相続の開始から遺産分割までの共同相続人間の関係についてを定めています。

相続人が一人の場合は、被相続人の相続財産は単独で承継します。しかし相続人が複数人いる場合には、相続財産を全員が共有することになります。

遺言を残さなかった場合や遺言に残されていない相続財産がある場合は、遺産分割協議という相続人間での話し合いをすることになります。

相続財産の管理

共同相続財産の管理は、以下のような物権編の共有の管理規定によります。

  1. 相続財産の保存行為は各相続人が単独ですることができる
    保存行為とは、財産の状態を維持する行為のことです。たとえば、家屋の修理費や諸経費、相続人全員を名義人とする不動産登記、金融機関への被相続人名義の口座に関する取引経過の開示請求などです。
  2. 各相続人は相続財産の全部について、相続分に応じた使用ができる
  3. その他の管理に関しては、相続分の割合にしたがい多数決で決定する
    その他の管理とは、財産を利用・改良する行為のことです。たとえば、資料の取り立て、賃借契約の解除などのことです。
  4. 相続財産に変更を加え、または処分する場合には、他の相続人の同意を得る必要がある管理にかかる費用は相続分に応じて負担するものとされる
  5. 管理にかかる費用は相続分に応じて負担するものとされる

※ただし、すべてにおいて物権編の共有の管理の規定にしたがうというわけではありません。

遺産分割協議が終わるまでの間、土地や不動産などについて費用がかかったり、保険料や修理費などの諸経費が発生したりする場合があります。そのような場合の管理について、共同相続人間でスムーズに合意ができれば問題ありませんが、なかなか合意ができない場合にどう精算するかが問題になります。

相続財産に関する費用というのは、民法885条で規定されています。

第885条 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。

相続財産に関する費用は、前述と重複しますが、固定資産税、火災保険料、修繕費、遺産の保全費用、鑑定費用などが含まれます。通常、相続財産を承継した相続人が、どう支払いをするかを決定します。しかし、相続放棄や限定承認の場合に、相続人が存在しない相続財産となり、それら費用を支払う人がいない状態になります。その場合に、相続財産から費用を支払うというのが本条の規定です。

そのため、相続人が複数ある場合には、相続財産に関する費用を支払った相続人が、他の共同相続人に対し費用の償還請求をすることができます。

参考(物権編の共有の規定)

少し長いですが、物権の共有の第251条から第253条を掲載します。

第251条
1.各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2.共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

第252条
1.共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。) は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2.裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
(1)共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
(2)共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
3.前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
4.共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
(1)樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
(2)前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
(3)建物の賃借権等 三年
(4)動産の賃借権等 六箇月
5.各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

第253条
1.各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2.共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

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