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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《限定承認の効果と手続き・管理義務と財産目録の作成》

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限定承認後の管理義務

相続人が限定承認を選んだとしても、すぐに自由に相続財産を使えるわけではありません。限定承認をした相続人には、「相続財産の管理義務」が課されることになります。
この管理義務とは、亡くなった人の遺産を自分の財産と同じように注意をもって管理し、勝手に処分したり使い込んだりしない義務のことです。

この義務は、単純承認や放棄と違って限定承認を選んだ者に特有の責任です。
債権者や他の利害関係者の利益を保護するためにも、この管理義務は非常に重視されます。

民法918条
相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。

財産目録の作成が義務化されている理由

限定承認を行った相続人は、家庭裁判所に対して「財産目録」を提出しなければなりません(民法924条、家事事件手続法201条等)。

この目録には、プラスの財産(不動産、預貯金、有価証券など)とマイナスの財産(借金、保証債務、未払金など)を正確に記載する必要があります。

財産目録の提出は、限定承認の効果を発生させるための必須手続きであり、これを怠ると限定承認が無効になるおそれすらあります。

民法924条
相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

財産目録の作成手続きの流れ

  1. 遺産の全体像を調査する
    通帳、登記簿謄本、契約書などを用いて資産と負債をリストアップします。
  2. 評価を行う
    不動産や動産については、相応の評価額を算出します。税理士や不動産業者の協力が必要になることもあります。
  3. 家庭裁判所へ提出
    期限内(通常は申立てから1か月以内)に、所定の書式に従って財産目録を提出します。

管理義務の実態と責任

管理義務は単なる形式的な義務ではなく、違反した場合は損害賠償責任を負うことすらあります。

たとえば、財産の隠匿・浪費・不適切な処分をした場合、正確な財産目録を作成しなかった場合、債権者からの請求に誠実に対応しなかった場合です。
限定承認をした以上、「清算人としての役割」を果たすことが求められます。

債務弁済の優先順位と責任の範囲

限定承認を行った後、債務の弁済には優先順位があります。
民法ではこの手続きを整理しており、債権者や受遺者に対する対応を公平にする仕組みです。
この段階でのポイントは以下の通りです。

  • 弁済は相続財産の範囲内で行う(相続人の私財から払う必要はない)
  • すべての債権者に対して平等に処理する必要がある
  • 相続財産が不足する場合、債権者間で按分的な清算になる

第927条
1. 限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
2. 前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。
3. 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4. 第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。

第928条
限定承認者は、前条第1項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。

第929条
第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。

第930条
1. 限定承認者は、弁済期にいたらない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。
2. 条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。

特別代理人の選任と非弁行為の禁止

限定承認に関わる手続きの中では、家庭裁判所によって「特別代理人」や「相続財産管理人」の選任が必要になる場合があります。これは、たとえば他の共同相続人と利害関係がある場合や、未成年の相続人がいる場合に必要となります。

また、限定承認手続きでは、非弁行為(弁護士資格のない者による法律行為)が問題になることもあるため、専門的な助言や書類作成には注意が必要です。

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