相続という言葉を聞くと、「手続きをすること」と思われがちですが、法律上の相続は、 被相続人(亡くなった方)が亡くなった瞬間 に自動的にはじまります。
つまり、死亡届を出したかどうかに関係なく、被相続人が亡くなったその時点で、相続人の権利義務が発生しているのです。
相続する財産のなかには、預金口座や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金・保証債務などの「マイナスの財産」も同時に引き継がれる可能性があります。そのため、相続がはじまった直後こそ、冷静な判断と正しい知識が大切になります。
まず行うべき3つの初動対応
相続が開始したら、法律上・実務上まず次の3つの対応を行います。
死亡届の提出
被相続人が亡くなったことを知った日から7日以内に死亡届を提出します。通常は葬儀社が代行してくれますが、届出人となれるのは親族や同居人などです。
死亡届が受理されると、戸籍上に「死亡」の記載がされ、法律上の相続開始を証明する根拠となります。
火葬許可証・埋葬許可証の取得
火葬や埋葬を行うには、市区町村が発行する許可証が必要です。この書類は、のちに金融機関や年金事務所で手続をする際にも提示を求められることがあります。大切に保管しておきましょう。
戸籍謄本を集める
相続手続きの出発点は「相続人を確定すること」です。そのためには、被相続人の 出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要があります。
また、相続人の側の戸籍も併せて取り寄せることで、誰が正式な相続人なのかを確認します。
相続人の確定は戸籍の連続性がポイント
戸籍は結婚や転籍などで何度も変わっていることが多く、本籍地が各地に点在しているケースも珍しくありません。途中が1通でも欠けていると、法的に「出生から死亡までの証明」にならず、銀行や法務局で手続きが進められないこともあります。
司法書士に依頼すれば、委任状で全国の役所から戸籍を取り寄せてもらうことができます。相続登記や預貯金の名義変更を見据えるなら、早めに専門家へ相談するのが確実です。
相続財産の把握は早いほど安心
死亡届を提出したあとは、被相続人の財産状況を確認します。主なものは次のとおりです。
- 預貯金(銀行・信用金庫など)
- 不動産(土地・建物)
- 株式・投資信託
- 生命保険
- 借入金・ローン
- クレジットの未払い残高
- 公共料金や医療費の未払
銀行口座は、亡くなったことが金融機関に伝わると口座が凍結され、出金できなくなります。この凍結は悪用防止のためであり、遺産分割や相続人確認が終われば解除可能です。
放置は危険!熟慮期間のカウントがはじまる
被相続人が亡くなった日を起点として、相続人には 3か月の熟慮期間が与えられます。
この期間内に、単純承認するか、相続を放棄するか、限定承認するかのいずれかを決めなければなりません。
この3か月を過ぎると、自動的に「単純承認した」とみなされ、マイナスの財産(借金など)も含めて引き継ぐことになります。「財産を調べる時間が足りない」と感じた場合は、家庭裁判所に申立てをして 期間の延長を求めることができます。
司法書士に相続すべきタイミング
相続の初期段階で司法書士に相談すると、次のようなメリットがあります。
- 戸籍の収集や相続関係説明図の作成を代行してもらえる
- 不動産の名義変更(相続登記)を一括で任せられる
- 相続放棄や限定承認の判断を、家庭裁判所の手続きまでサポートしてもらえる
- 他の相続人との連絡や書類作成もスムーズに進む
特に相続人が複数いる場合や、相続関係が複雑なケースでは、最初の段階で司法書士に相談しておくことがトラブル防止につながります。
相続は「亡くなった瞬間」からはじまり、法律上の手続きが進むごとに、相続人の権利と義務が確定していきます。感情的に動いてしまうと、のちに大きな損をすることもあるため、まずは落ち着いて事実確認と書類整理を行うことが大切です。
被相続人の戸籍収集・相続人確定・財産調査は、司法書士にとって最も重要な支援領域です。迷ったときは、早めに専門家へ相談し、確実に第一歩を踏み出しましょう。
