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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《相続人調査と相続人の確定》

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相続人

被相続人(亡くなった方)の財産を受け継ぐ人を相続人と呼びます。相続人は配偶者や子などの法定相続人だけでなく、被相続人が生前にのこした遺言書で相続人が定められている場合もあります。法定相続人として定められているのは配偶者と血族です。配偶者は常に相続人となり、血族は子や直系尊属(被相続人の上の世代である父母・祖父母など直系の血縁がある者)、兄弟姉妹が相続人と認められます。

01相続人調査と相続人の確定

相続が発生すると、相続人のあいだで遺産分割をすることになります。その際にとても重要なのが相続人の調査です。相続の手続きをするには、どのような相続人がいるかを調査して相続人を確定しなければなりません。相続人調査をしないと、遺産分割の際にトラブルが発生するおそれがあり、家族の不仲やさらには訴訟問題など、大きな紛争へとつながってしまうかもしれません。そのようなトラブルの原因を最大限に回避できるよう、相続人の調査は必ずしなければならないステップのひとつです。

誰が相続人であるかは戸籍によって決まっていますので、戸籍を調べれば把握できます。しかし、必ずしも明らかでない場合もあります。胎児の存在や、相続人の行方がわからない場合、婚姻外に子がいる場合など、さまざまなケースがあります。

相続人調査とは

相続人の調査は、被相続人の財産を相続するのは誰なのか、を戸籍謄本などで特定することです。相続人は被相続人の配偶者と子、子がいなければ親や孫、どちらもいなければ兄弟姉妹、という順位のもと法定相続人がいます。

しかし、不仲で疎遠になっている、しばらく連絡をとっていない、という状態で相続人のすべてを把握していないことも少なくありません。
さらには、実際に調査をしてみると、実は被相続人に認知した婚外子がいた、という知らない事実が発覚することもあります。現代においてはそんなことないだろう、と思われる方も多いかもしれませんが、あとになって発覚したのではトラブルになりかねませんので、必ずきちんと把握しておかなければなりません。

相続が発生すると、相続人のあいだで遺産分割をすることになります。遺産分割協議は相続人全員が参加しなければならず、協議した内容が決定したら遺産分割協議書には相続人全員が同意したうえで署名・押印が必要になります。もし、あとから新たな相続人が発覚した場合、全員が同意した遺産分割協議は無効になります。当然、再度遺産分割協議をして、全員の同意と署名・押印が必要になります。協議に時間がかかるだけでなく、相続人であるはずの人が除かれて協議が進んでいたことへの不信、協議がうまくまとまらないことで対立が起きたり、法的な紛争が起きたり、というトラブルの原因にもなります。

戸籍謄本を集め、相続人を確定する

相続人の調査は、被相続人の婚姻関係や親子、兄弟姉妹の関係にあたる人を調べることです。

この調査は、主に被相続人の戸籍謄本を集めることで確定します。被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍をすべて集め、徹底して被相続人の関係を調査して相続人を確定します。

相続人調査のさまざまなケース

相続人が相続承認後に行方不明の場合

遺産分割協議は相続人全員でしなければなりませんが、相続人が相続を承認後に行方不明となった場合、遺産分割協議ができなくなります。相続人が行方不明となった場合は、民法第907条2項の適用となります。

第907条2項
遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

相続人が相続開始当時から行方不明の場合

存在している相続人が相続開始当時から行方不明の場合は、不在者財産管理人を選任し遺産分割協議ができます。

相続開始後で遺産分割協議前の死亡

行方不明の相続人が相続開始後で遺産分割協議前に死亡していたことが判明した場合は、相続人は存在した相続人の確定に重大な過誤はありません。行方不明で死亡した相続人の相続人となる者が、遺産分割協議に参加します。

同時死亡の推定がある場合

同時死亡の推定とは、たとえば父と子が同じ事故で死亡したような場合です。この場合、死亡者相互間には相続はおこりません。被相続人の先死が確認できる場合以外は、遺産分割協議を控えるべきです。

相続人身分の消滅が争われている場合

相続欠格・相続人の廃除・嫡出否認・親子関係不存在・婚姻または縁組の無効などが争われている場合がありますが、これらに該当する場合は、当該事件が解決し明確な判定が出るまで、遺産分割協議をすべきではありません。

被相続人の死後に認知の訴が提起された場合

被相続人が亡くなったあとに認知の訴がなされる場合があります。しかし戸籍上の相続人だけで、すでに遺産分割協議がされていた場合は有効です。民法第910条は有効を前提としています。

民法第910条
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

遺産分割協議を有効として、後に認知によって相続人に確定した者に、価額支払請求を許せばよいとしたのです。

02財産を相続できる法定相続人

法定相続

法定相続とは、民法で定める法定相続制に則って、相続人の範囲や順位、割合などにしたがって、被相続人(亡くなった人)の財産を承継することです。遺言書がのこされていない場合には、この法定相続制に則った分割で協議されます。

法定相続人

被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人の相続の順位は、第一に子、第二に直系尊属(父母や祖父母など)、第三に兄弟姉妹、と定めています。民法で定められた相続人は法定相続人と呼びます。

第一順位 被相続人の子

被相続人の子が第一に相続します。子が死亡しているときは、その子の直系卑属(子どもや孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、被相続人により近い世代である子を優先します。

第二順位 被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)

被相続人に子がいなかった場合に、直系尊属(父母や祖父母など)が第二に相続します。父母も祖父母もいるときは、被相続人により近い世代である父母を優先します。

第三順位 被相続人の兄弟姉妹

被相続人に子がおらず、直系尊属(父母や祖父母など)もいない場合に、兄弟姉妹が第三に相続します。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子が相続人となります。

配偶者の相続権利

第890条
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

上述の法定相続人がいてもいなくても、被相続人の配偶者は常に相続人となることを定めています。
配偶者以外に、子や親、兄弟姉妹など相続権を持つ者がいるときは、配偶者と同順位で相続人になります。子や親、兄弟姉妹などがいない場合は、配偶者が単独で相続人になります。
なお、配偶者は戸籍上の正式な婚姻関係にある者であり、内縁関係にある事実上婚姻関係にある者は対象ではなく、内縁者に相続権はありません。内縁に相続する場合は、生前贈与や遺言による遺贈などになります。

また、被相続人と内縁関係にある母親との子(非嫡出子)は、父親である被相続人の認知があるかないかで相続権が変わります。

配偶者の相続について、詳しくは「配偶者の相続権」で解説しています。

離婚後の元配偶者

被相続人が亡くなると配偶者は相続人となりますが、離婚後、つまり元配偶者は相続人になりません。婚姻期間の長さや離婚後経過した期間など一切関係がなく、離婚した時点(法律的に婚姻を解消する離婚届が受理された時点)で相続権はありません。

たとえば、離婚をするために協議していたり訴訟で争っていたりするあいだに配偶者が亡くなった場合は、この時点でまだ離婚届が受理されていないため配偶者に相続権があるため、配偶者が相続人になります。

また、離婚した元配偶者とのあいだに子がいる場合は、離婚したあとでも子には相続権があります。離婚した元配偶者との血縁関係がある子は相続人です。

胎児の相続権利

第886条
1.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2.前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

胎児の相続権についてを定めています。被相続人が亡くなったとき、まだ出生していない子(お腹にいる子)は、生まれたものとみなして相続人となることができるのです。
死産の場合は、相続開始の時点にさかのぼり、相続人ではなかったものとなります。

ここで関わってくるのが、遺産分割協議です。今日では胎児の法定代理の定めがありませんので、胎児の間は相続財産が保護されるのみで、生まれてから遺産分割協議をするのがよいという考えです。そして、出生しても赤ちゃんである相続人が遺産分割協議をすることはできないため、代理人が協議に参加することになります。代理人は親権者ではなく、特別代理人を家庭裁判所に選任してもらいます。赤ちゃんの親権者が代理人になると利益相反となるおそれがあるためです。

直系卑属と兄弟姉妹の相続権利

第889条
1.次に揚げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に揚げる順序の順位に従って相続人となる。
 一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
 二 被相続人の兄弟姉妹
2.第887条二項の規定は、前項第二項の場合について準用する。

死亡した被相続人に子や孫がいない場合は、死亡した人の父母や祖父母などである上の世代の人、死亡した人の兄弟姉妹、の順番で相続人になります。父母も祖父母も存命している場合は、父母が相続人となります。そして、子や孫、父母、祖父母もいない場合に、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になります。

さらに、兄弟姉妹が相続人となったあとに相続権を失った場合には、その子が代わって相続人となる代襲相続となり、亡くなった人の甥や姪が相続権を持つ場合があります。ただし、兄弟姉妹が相続人である場合の代襲相続は1回までで、甥や姪の子が相続権を持つことはありません。

03配偶者の相続権

配偶者の法定相続分

配偶者は被相続人(亡くなった人)の配偶者であれば必ず相続人となります(民法890条)。婚姻の死亡解消に際して相続という方法で、財産関係の清算をするというものです。配偶者が受け取る遺産の割合(法定相続分)は、被相続人に他の相続人がいるかどうかによって異なります。

民法第890条
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

他の相続人がいる場合

配偶者の法定相続分は、以下のように定められています。

  • 子がいる場合
    配偶者:子 = 1/2:1/2
  • 直系尊属(親)がいる場合
  • 配偶者:直系尊属 = 2/3:1/3
  • 兄弟姉妹がいる場合
  • 配偶者:兄弟姉妹 = 3/4:1/4

他に相続人がいない場合

被相続人に子、直系尊属、兄弟姉妹がいない場合、配偶者が全財産を相続します。

遺言がある場合

被相続人が遺言を残している場合、基本的には遺言の内容が優先されます。ただし、遺留分(最低限の相続分)に配慮する必要があります。

なお、遺言に相続人への割合が指定されていても、共同相続人間で全員が合意すれば遺言内容とは異なる割合で相続することも可能です。

配偶者の遺留分

遺留分とは、法定相続人が最低限確保できる遺産の割合を指します。配偶者には遺留分を請求する権利があり、その割合は以下のようになります。

  • 配偶者と子がいる場合:遺産の1/4(法定相続分の半分)
  • 配偶者と直系尊属がいる場合:遺産の1/3(法定相続分の半分)
  • 配偶者のみの場合:遺産の1/2

特別受益

生前贈与や婚姻後の贈与など、被相続人から特別な財産を受け取っていた場合、これを特別受益とみなして相続分に影響を与えることがあります。

配偶者短期居住権

令和2年(2020年)の改正民法により、配偶者が被相続人と共に住んでいた住居に一定期間住み続ける権利が認められています。これにより、遺産分割が終わるまで配偶者の住居が保護される仕組みとなっています。

離婚後の相続権

離婚が成立すると、元配偶者は被相続人の配偶者ではなくなるため、法定相続人の資格を喪失します。このため、被相続人が亡くなった場合でも、元配偶者には遺産を相続する権利がありません。

遺言による指定がある場合

被相続人が遺言書で元配偶者に財産を譲ることを明記していた場合は、その遺言が有効です。遺言による遺贈であれば、元配偶者が遺産を受け取ることが可能です。ただし、この場合でも他の法定相続人がいる場合は、遺留分が問題になる可能性があります。

子どもがいる場合

離婚後の元配偶者との間に子どもがいる場合、その子どもは被相続人の法定相続人として相続権を持ち続けます。子どもが相続した財産を元配偶者が管理する場合もありますが、これは子どもの利益のためであり、元配偶者自身が相続したわけではありません。

養子縁組の場合

元配偶者が被相続人の養子であった場合、離婚によって配偶者としての相続権は失いますが、養子としての地位は離婚後も継続するため、相続権が残る可能性があります。ただし、養子縁組を解消した場合は相続権を失います。

相続放棄や離婚調停における特約

離婚調停や協議離婚の際に、相続に関連する特約が交わされることがあります。ただし、相続は被相続人の死亡によって発生する権利であるため、生前に相続権の放棄を取り決めることは法律上認められていません。離婚時の取り決めは、道義的・合意的な効力を持つに過ぎません。

内縁関係の相続

法律上の配偶者でない内縁配偶者に相続権はありません。平成12年3月10日の最高裁判所の判決では、内縁関係の死亡解消の際には、財産分与請求ができないとしています。婚姻という籍を入れることの重大さを判決で認めたかたちです。

なお、内縁関係の間の子は、婚姻関係のない間に生まれた子として非嫡出子といいますが、原則、相続権がありません。非嫡出子は、認知されることで相続人となります。被相続人と血のつながりがない場合(たとえば、内縁の妻の連れ子)の場合は、養子縁組をしていれば相続人として認められます。非嫡出子であっても嫡出子であっても相続分は同等です。

04内縁関係の相続

内縁関係の相続については、法律上の婚姻関係がないため、民法では内縁の配偶者に相続権は認められていません。ただし、特定の条件や方法を用いることで、内縁の配偶者が財産を取得できる可能性もあります。

内縁関係とは

内縁関係とは、法律上の婚姻手続きをしていないものの、事実上夫婦として共同生活を営んでいる関係を指します。法律上の「配偶者」とはみなされないため、相続においては法定相続人として扱われません。

内縁関係は法律による具体的な定義はありません。しかし「婚姻に準ずる関係」として事実上の夫婦関係とみられ、事実婚とも呼ばれます。
お互いが結婚する意思を持った関係であり、婚姻関係と内縁関係の違いは、婚姻届を提出しているかどうかです。

いわゆる同棲している二人の関係がすべて内縁関係かというと、それは違います。婚姻意思を有しているのかどうかがポイントになるため、結婚をする気のない二人が数年間暮らした場合は同棲となります。婚姻届を提出していないが、婚姻の意思を持って二人で暮らした場合は事実婚状態と呼べるでしょう。

内縁の配偶者の相続

遺言による遺贈

被相続人が遺言書を作成し、内縁の配偶者に財産を譲る意思を明記していれば、遺言に基づいて財産を取得することができます。

  • 遺言書の形式
    公正証書遺言や自筆証書遺言を正しく作成する必要があります。
  • 遺留分への配慮
    他の法定相続人がいる場合、遺留分(最低限の相続分)が問題となる可能性があります。

たとえば、内縁関係の夫が遺言書に「内縁の妻〇〇に〇〇万円を遺贈する」と明記しておけば、法律上の婚姻関係がなくても内縁関係の妻はその財産を受け取ることができます。

ただし、法定相続人が遺留分の権利を行使すれば、内縁関係の妻は遺留分を侵害する金銭を法定相続人に支払う義務が生じます。遺言を作成する場合は、法定相続人の遺留分への配慮が必要です。

死因贈与契約

被相続人と内縁の配偶者の間で、被相続人の死亡を条件に財産を贈与する契約を結ぶことも可能です。死因贈与契約は法的拘束力があり、内縁の配偶者が財産を受け取る権利を確保できます。

居住の保護(借家権)

内縁の配偶者が被相続人とともに借家に住んでいた場合、内縁の配偶者が「同居の家族」として借家権を引き継ぐ権利が認められることがあります。これにより、住居を確保できる場合があります。

家庭裁判所への申し立て(特別縁故者制度)

被相続人に法定相続人がいない場合、内縁の配偶者が家庭裁判所に申し立てを行うことで、特別縁故者として財産を受け取れる場合があります。必ず財産を受け取れるわけではなく、家庭裁判所の判断次第です。特別縁故者と認められる条件は、長期間の同居や生活費の負担など、密接な関係が証明されなければなりません。

生命保険の受取人

被相続人が生命保険契約を結び、内縁の配偶者を受取人に指定している場合、生命保険金は相続財産に含まれず、内縁の配偶者が受け取ることができます。

原則、生命保険の受取人は親族と定めれていますが、保険会社によっては内縁関係の者を受取人として認めている場合もあります。当然、保険会社の規定を満たさなければなりません。

内縁関係の子の相続

内縁関係に子がいる場合、その子どもの相続権については、民法において婚姻の有無にかかわらず適用されます。内縁関係にある親から生まれた子どもは、法律上の「実子」として扱われるため、相続権が認められます。

子どもの相続権

実子である場合

内縁の関係であっても、親子関係が認められている場合、子どもは法定相続人となります。子どもは常に第一順位の相続人です。内縁関係であっても婚姻関係で生まれた子どもと同じ権利を持ちます。

相続分は、配偶者(内縁関係でなく法律上の配偶者)がいる場合、配偶者と子どもで法定相続分が分けられます。その場合の割合は、配偶者と子で1/2ずつです。子が複数いる場合は、1/2を子で均等に分けます。

認知されている場合

婚姻関係がなくても、被相続人(親)が子どもを認知していれば、その子どもには相続権があります。認知は出生届による場合や、戸籍上の手続き、裁判所の確定判決などで行われます。
認知のタイミングは、死亡後に裁判所で親子関係が認められた場合も、相続権が発生します。


内縁関係は法的保護が不十分な場合が多いため、内縁関係の配偶者へ遺産をのこす場合は、遺言書を作成したり、法的手続きを検討するのが一般的です。

05婚姻外の子・胎児の相続

非嫡出子の相続権

婚姻関係のある間に生まれた子を嫡出子(ちゃくしゅつし)といい、法律上婚姻関係にない間で生まれた子どものことを非嫡出子(ひちゃくしゅつし)といいます。いわゆる婚外子や隠し子です。

婚姻外の子どもも父親が被相続人の場合、その父に認知されていれば相続人となります。相続分については、平成25年12月の民法改正により非嫡出子も嫡出子も同額となります。
(旧民法では、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1という規定でした。)

たとえば、父親が被相続人で嫡出子Aと認知された子Bが相続人の場合、AとBは1/2ずつを相続します。婚姻外の子も第一順位で相続人になります。正妻に子供がいなければ、正妻と1/2ずつを相続します。

非嫡出子の認知について

非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども)が相続権を得るためには、親子関係が法律上認められることが必要です。その方法の一つが「認知」です。認知とは、父親が婚姻外の子を自分の子であると認め、役所へ届出をすることです。父親本人が口頭で自分の子であると認めることは法律上の効力はありません。役所へ届け出る認知をすることで、婚外子は認知された非嫡出子の地位をえられ、父と子(母)の戸籍に記載されます。認知がされていない非嫡出子は、法的には父親がいないということになります。認知された非嫡出子となると相続人となれます。

ほかにも遺言によって認知する方法もあります。遺言書に記した内容は法的な効力が発生します。遺言書の内容として認められるものが法律で決められているためです。その遺言書の内容に子の認知が認められています。

父の死後3年以内に裁判所へ認知の請求をすることもできます。請求が認められた場合は、親子関係が認められ、相続権が得られることになります。3年を経過すると請求することはできません。

胎児の相続について

胎児には、基本的には生まれていないための権利が認められないのですが、相続に関しては例外として扱われます。胎児は母胎内に存在していますが、出生していないません。民法は、胎児であっても、不法行為による損害賠償請求、相続(代襲相続を含む)、遺贈に限り、生まれたものとみなしています。

このように、胎児も相続人です。胎児の保護を考えて積極的に胎児の相続登記をおすすめします。
たとえば、妻が妊娠中に夫が死亡した場合、その相続財産は胎児にも相続されますので、相続財産の登記をすることができます。

民法第886条
1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

その後、もし胎児が死産したときは相続人に登記の抹消をされます。相続権を得るには、出生後に生存が確認されることが条件です。
また、胎児を保護するために、胎児の出生前の遺産分割は無効とされています。

胎児への遺贈

遺言書で胎児に財産を遺贈することも可能です。遺贈とは、遺言書によって特定の人に財産を譲渡することです。胎児はまだ生まれていないものの、遺言者がその胎児に財産を遺贈する意思を示していれば、その意思は法的に認められます。

遺言書には胎児が誰であるかを明記

遺言書には、胎児が生まれてくることを前提として、財産を遺贈する旨を明記します。このとき、胎児が誰であるかを特定できる表現を使用します。遺留分(法定相続人が最低限受け取ることのできる取り分)への侵害も考慮しなければなりません。

出生後、胎児が生存している場合、遺贈された財産の受領が正式に確定します。このとき、法定代理人(通常は親)が財産を受け取り、管理します。

胎児が生まれなかった場合(死産であった場合)、その遺贈は無効となります。遺言者が特定の胎児に遺贈する意思を示していた場合でも、胎児が死産の場合には財産は遺贈されません。

06養子の相続権

養子の相続権

養子は、養親(養父母)の相続において、実子と同じように相続権を持ちます。民法上、養子は実子と法的に同じ立場とされ、養親の遺産を相続することができます。

養子の種類

養子には主に普通養子と特別養子の2種類があります。

  • 普通養子
    普通養子は、成人した者が養子となる場合や、実子がいない家庭に養子が入る場合に用いられます。普通養子は養親の相続において実子と同じ権利を持ちます。つまり、養親の遺産を分割する際、実子と同じように相続分を受け取ります。実親との相続関係は変わらず、養子は実親からも相続権を持ち続けます。
  • 特別養子
    特別養子は、通常、養子縁組を通じて養親がその子どもに対して実子と同じ法的地位を与えるものです。主に、子どもの福祉を目的とした養子縁組で行われます。特別養子は、養親との関係において実子と同じ相続権を持つ一方、実親との法的な親子関係は終了し、実親からの相続権は失います。

養子の相続分

養子の相続分は、実子と全く同じです。つまり、養親が亡くなった場合、養子は他の相続人(配偶者や実子)と同様に遺産分割に参加します。

普通養子の相続

養子縁組によって養子となった者が、養子縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します。養子は、養親の嫡出子の身分を取得するので、養親の相続は実子と同じ順位で相続人となります。養子縁組によって兄弟姉妹となった者の相続も相続人となります。また、実子と養子で法定相続分に違いはありません。

普通養子縁組による養子は、養子縁組をしても実親との親子関係が継続しますので、普通養子は実親の相続において第一順位の相続人です。実親の子の相続の場合、兄弟姉妹として第三順位である相続人という立場も変わりません。さらに、普通養子が死亡した場合、実親のと同様に養親も直系尊属として、養子の相続の第二順位の相続人になります。実親と養親の相続分は均等で、たとえば養父母、実父母の4人が相続人なら、各1/4となります。

もし離縁によって養親子の間の法的な親子関係が解消され、他人となります。つまり、養親と養子の相続関係は生じません。ただし、離縁する前に開始した相続は、相続人という立場を有します。たとえば、養父が亡くなったあとに離縁の手続きをして親子関係を解消した場合、養子(離縁後の他人)は元養父の相続人として相続することができます。

特別養子の相続

特別養子縁組によって養子となった者は、養親にとって実子と同等となるので相続における扱いも同様です。特別養子は養親の相続人となります。養親の子(養子の兄弟姉妹)の相続でも相続人となります。また、実子と養子で法定相続分に違いはありません。

普通養子と異なるのは、実親との親子関係は終了している点です。そのため特別養子は、実親または実親の子(養子にとって兄弟姉妹)の相続人となりません。特別養子が死亡した場合、養父母は特別養子を相続しますが、実父母は相続することはありません。

養子の代襲相続

代襲相続とは・・・相続人が相続開始前に亡くなった場合や相続権を失った場合に、その代わりにその子ども(孫など)が相続権を引き継ぐことを意味します。代襲相続は、基本的に実子にも養子にも適用されます。

普通養子は、実子と同じ相続権を持ちます。
養親が亡くなり、養子がすでに死亡している場合、その養子の子ども(養孫)が代襲相続人となります。代襲相続人は、養子と同じ相続分を引き継ぎます。

特別養子の場合も代襲相続が適用されますが、特別養子には実親との相続関係が切れているため、代襲相続も養親に対してのみ適用されます。特別養子が亡くなった場合、その子ども(養孫)が養親の代襲相続人となります。

代襲相続人は、亡くなった相続人と同じ相続分を引き継ぎます。たとえば、養子が本来相続するはずだった財産の一部を、代襲相続人(養子の子)が受け取ることになります。代襲相続人が複数いる場合は、相続分がその人数で等分されます。

07代襲相続

代襲相続とは

代襲相続とは、相続人が相続開始前に死亡していた場合や、相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合に、その相続人の子(直系卑属)が代わりに相続する制度です(民法第887条第2項、第889条)。この制度は、相続権が一世代上から一世代下へ引き継がれる仕組みであり、血縁関係を重視する相続法の特徴を反映しています。

代襲原因

代襲相続が発生する主な原因は次のとおりです。

  1. 死亡
    法定相続人が相続開始前に死亡していた場合、その子が代襲相続人となります。
  2. 相続欠格
    相続欠格とは、法律で定められた重大な理由により相続権を失うことを指します(民法第891条)。
    たとえば、被相続人に対する重大な犯罪行為が該当します。
  3. 相続人の廃除
    被相続人が特定の相続人を遺言によって廃除した場合、その子が代襲相続人となることがあります(民法第892条)。

民法第891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
1. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

代襲相続の効果

代襲相続が発生すると、代襲者は本来の相続人が受け取るはずだった相続分をそのまま引き継ぎます。ただし、代襲相続は代襲者が複数いる場合、均等に分割されます。また、代襲相続はさらに代襲されることが可能で、孫や曾孫といった直系卑属が次の代襲相続人となる場合があります。

代襲相続の代襲者となる者

兄弟姉妹の孫、配偶者、直系尊属について

  • 兄弟姉妹の孫
    兄弟姉妹が相続開始前に死亡していた場合、その子(甥・姪)は代襲相続人となります。ただし、兄弟姉妹の孫(甥姪の子)は代襲相続できません(民法第889条第2項)。
  • 配偶者
    配偶者は常に相続人であり、代襲相続の対象とはなりません。被相続人の配偶者が相続開始前に死亡している場合、その地位を代襲する者は存在しません。
  • 直系尊属
    直系尊属(親など)が相続開始時に存命していなければ、その地位を代襲する制度はありません。代襲相続は直系卑属に限定されます。

養子の子について

養子の子は、その養子を通じて被相続人と血縁関係があるとみなされる場合に限り、代襲相続人となります。養子が相続開始前に死亡していた場合、その養子の子(被相続人の孫に該当)は代襲相続人として相続権を持つことがあります。これは、養子と実子が同等の相続権を持つとする法律の規定によります。

養子である兄弟姉妹の子について

兄弟姉妹の代襲相続人は、相続権を失った者の子であると同時に、被相続人の血族でなければなりません。養子縁組前の兄弟姉妹の子は、養子を代襲して養親の他の子の相続財産を代襲相続できません。しか、養子縁組後に出生した兄弟姉妹の子は、兄弟姉妹をとおして、養親の他の子との間に法定血族関係が生じますので代襲相続人となります。

代襲相続人存在時期

代襲相続人は、相続開始時(被相続人の死亡時点)に生存している必要があります。代襲相続人が相続開始時にすでに死亡していた場合、その子が再代襲相続人となります。

再代襲相続

再代襲相続とは、代襲者がさらに相続開始前に死亡している場合に、その代襲者の子(被相続人の孫)が再び代襲相続人となる制度です。これにより、相続権はさらに次世代へ引き継がれることになります。

例えば、被相続人Aの子Bが相続開始前に死亡し、さらにBの子Cも死亡していた場合、Cの子Dが再代襲相続人となり、Aの相続分を受け継ぎます。

08相続権の重複

相続権の重複

相続人としての資格が重複する場合があります。つまり、一人に2つの相続人としての身分が重なる場合があるということです。民法上、法定相続人になりえるのは、被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。一人の相続人が、重複してこれらの身分を持ち合わせるケースが存在します。

相続人としての資格が重複した場合、相続分の決定は民法に明確に定められているわけではありません。遺産の割合は相続人がどれだけの法定相続分を有するかが重要です。

第887条
1. 被相続人の子は、相続人となる。
2. 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

第889条
1. 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
 ① 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
 ② 被相続人の兄弟姉妹

相続人となる立場の基本

相続人の立場は、民法で以下のように規定されています。

  1. 配偶者(常に相続人)
  2. 子(直系卑属)
  3. 直系尊属
  4. (親など)兄弟姉妹

資格が重複する場合には、これらの立場のうち複数の立場で相続権を持つことになります。

資格が重複する状況

相続人の資格が重複する主なケースは次のとおりです。

  • 被相続人との血縁関係が複数のルートで成立している場合
  • 代襲相続や養子縁組により複数の相続資格が発生する場合

重複した資格の例

直系卑属間の重複

たとえば、孫が相続人になる場合で、父親(被相続人の子)が相続開始前に死亡している場合、孫は父親の代襲相続人として相続権を得ると同時に、被相続人の養子である場合には養子としての相続権も重複します。

代襲相続による重複

代襲相続とは、本来の相続人が相続開始前に死亡していた場合に、その子が代襲相続人となる制度です。孫が代襲相続人としての地位を持つ一方で、他の立場(例:養子)を持つことも可能です。

養子縁組による重複

養子が実子としての相続権を持つ場合、実親と養親の両方の相続権を持つことがあります。この場合、養子は養親と実親の両方の遺産を相続する権利を持つため、相続権が重複します。

相続権の重複が及ぼす影響

相続分の計算方法

重複した資格がある場合、それぞれの資格ごとに相続分を計算します。たとえば、養子と代襲相続人の両方の資格を持つ場合、それぞれの割合を足して総相続分を算出します。

相続人間の公平性の確保

相続権の重複があると、他の相続人との間で相続分に不公平が生じる場合があります。このため、遺産分割協議や調停でバランスを調整することが重要です。

登記実務における注意点

重複した資格を反映した登記

相続権の重複がある場合、登記申請ではそのすべての資格を正確に反映する必要があります。具体的には、代襲相続人としての地位や養子としての地位をそれぞれ登記簿上に明記します。

必要な証明書類

登記の際には、重複する相続資格を証明するために、戸籍謄本や養子縁組証明書などの書類を提出する必要があります。

実務上の問題点

資格が重複する場合、相続分の割合を正確に計算し登記簿に記載するのは複雑です。また、相続人間の協議が長引くことが多いため、迅速な対応が求められます。

相続権の重複は、複数の資格を持つ相続人が発生することで、相続分や登記手続きに影響を与えます。特に代襲相続や養子縁組が絡む場合、正確な計算と法的な確認が必要です。専門家の助言を受けながら手続きを進めることで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

特別なケース

再代襲相続と資格の重複

再代襲相続が発生する場合、相続権がさらに次世代に渡ることで複数の資格が交錯する場合があります。例えば、被相続人の孫が亡くなり、その子(曾孫)が相続する場合、養子であれば実親の財産も相続することがあります。

相続放棄と重複資格の関係

相続放棄をした場合、その放棄した資格に基づく相続権は消滅します。ただし、別の資格で相続人となる場合は、その相続権は放棄の対象外です。このため、相続放棄が資格重複に及ぼす影響を慎重に考える必要があります。

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