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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《高齢単身社会が生んだ相続以前の問題》

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社会問題・老老相続

高齢の配偶者が相続人となり、その後すぐに次の相続が発生する「老老相続」。一度の相続で終わらせず、次の相続まで見据えることが重要です。老老相続が抱える法的リスクと対策を司法書士の視点で解説しています。

01高齢単身社会が生んだ相続以前の問題

相続という言葉を聞くと、多くの人は亡くなった後の手続きを思い浮かべるのではないでしょうか。遺産分割や相続登記、名義変更といった話は、確かに相続の中心的な場面です。しかし、司法書士として日々相談を受けていると、近年は相続がはじまる前から問題が起きているケースが急激に増えていると感じます。その背景にあるのが、日本社会の大きな構造変化です。

高齢単身・高齢夫婦世帯が当たり前になった社会

日本では、高齢者の単身世帯や、配偶者と二人だけで暮らす高齢夫婦世帯が年々増えています。子どもがいない、あるいは子どもがいても遠方に住んでいる、疎遠になっているという家庭もめずらしくありません。

このような状況では、かつて家族が自然に担ってきた役割、たとえば日常の見守り、いざというときの連絡先、入院や施設入所時の保証、亡くなった後の事務手続きといったことを、誰が担うのかが問題になります。

この段階では、まだ相続は発生していません。しかし、すでに法律や契約の問題が現実の生活に入り込んでいます。ここに、いわゆる相続以前の問題があります。

必要とされている終活支援サービス

こうした社会状況を背景に、近年はさまざまな終活支援サービスが広がっています。

たとえば、定期的に本人と連絡を取り、安否や生活状況を確認する見守り契約です。あるいは、入院や施設入所の際に求められる保証人の役割を引き受ける身元保証サービスです。賃貸住宅への入居が難しい高齢単身者を支援するための制度や団体も整備されてきました。

これらは、高齢者が一人でも生活を続けるために、非常に重要な仕組みです。家族に代わって社会が支える体制が必要になっている、と言い換えることもできるでしょう。
しかし、司法書士の立場から見ると、ここで一つ重要な点があります。

相続を解決するものではない

見守り契約や身元保証サービス、死後の事務を第三者に依頼する仕組みは、生活を支えるための制度です。ですが、相続そのものを解決する制度ではありません。

どれほど生活面の支援が整っていても、最終的に必ず残るのは、財産は誰が引き継ぐのか、その人は、本当に管理できるのかという問題です。
そして多くの場合、この問いに対する答えは配偶者が相続人になるという形になります。

配偶者が相続人になるという現実

日本の相続では、配偶者が相続人になるケースが非常に多くあります。長年連れ添った夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者が財産を引き継ぐ、これはごく自然なことです。
しかしこのとき、その配偶者自身も高齢であるという現実があります。

  • 判断能力が低下し始めている
  • 財産管理に不安がある
  • 生活そのものに支援が必要になりつつある

このような状況でも、形式上は問題なく相続は成立します。相続登記もでき、名義も配偶者に移ります。一見すると、相続は無事に終わったように見えるでしょう。けれども、ここは決してゴールではありません。

本当の問題はその先にある

高齢の配偶者が財産を相続したあと、その方の相続がいつ発生するかは誰にも分かりません。場合によっては、数年も経たないうちに次の相続が訪れることもあります。

つまり、今回の相続、そのすぐ先に控える次の相続、がほとんど準備のないまま連続して起こる構造が生まれます。この構造こそが、後に大きな問題となって表面化します。しかし、多くの人は目の前の相続が終わったという安心感から、そこまで考えないということがほとんどです。

相続は一度きりではない

相続は、単発の出来事ではありません。必ず次につながるものです。

特に高齢社会では、今回の相続と次の相続の間隔が非常に短くなっています。この現実を見据えずに相続を終わらせてしまうと、のちになって家族や関係者が大きな負担を抱えることになります。

02終わらない相続 ―老老相続

高齢単身社会の広がりによって、相続が「亡くなった後の話」ではなく、生前からすでに問題として始まっています。相続が実際に起きたあと、なぜ新たな問題が生まれやすいのかを整理します。
その中心にあるのが、「老老相続」と呼ばれる構造です。

老老相続とは

老老相続とは簡単にいえば、高齢者が亡くなり、その相続人となる配偶者も高齢である相続を指します。
特別な家庭の話ではありません。むしろ現在の日本では、最も一般的な相続の形になっています。長年連れ添った夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者が自宅や預貯金を相続する。この流れ自体は、ごく自然なものです。

問題は、その相続が終わったように見える点にあります。

形式上、相続は終わる

老老相続の多くは、手続きとしては問題なく進みます。

  • 相続人は配偶者のみ、あるいは配偶者と子ども
  • 遺産分割でも大きな争いはない
  • 不動産は配偶者名義に変更される
  • 預貯金も配偶者が引き継ぐ

ここまでを見ると、「相続は無事に完了した」と感じるかと思います。実際、登記や名義変更といった手続きもきちんと終わります。

老老相続の問題「時間」

老老相続が問題になりやすい最大の理由は、時間が味方しないことです。相続を受けた配偶者は、すでに高齢です。数年後、場合によってはそれほど時間を置かずに、次の相続が発生する可能性があります。

つまり、今回の相続、その直後に控える次の相続が、ほぼ連続して起こる構造になっているのです。
この点を意識せず、とりあえず今回の相続を終わらせることだけに集中すると、次の相続が一気に複雑化します。

老老相続で起きやすいトラブル

よく現場で目にするのは、相続登記はしたがその後が動かない、配偶者名義に相続登記はしたものの、売却の判断ができない、施設入所にともなう処分が進まない、相続人本人が意思表示できなくなる、などのケースです。

結果として、不動産が動かせない資産になってしまいます。

配偶者が亡くなると、次の相続では、子ども、すでに亡くなっている子の孫、親族、というように、相続人が一気に増えることになる場合が多いです。
今回の相続では問題がなかったのに、次の相続で一気に話がまとまらなくなるという、老老相続では非常に典型的なパターンです。

判断能力低下のリスク・認知症のリスク

老老相続では、相続人本人の判断能力が低下している、あるいは低下するリスクが高い点、そして認知症のリスクがあります。
相続を受けた配偶者は高齢であることが多く、相続の直後は問題がなくても、数年のうちに判断能力が低下する可能性があります。

  • 不動産を売却するかどうか判断できない
  • 遺言を作成したくても、意思能力が認められない
  • 相続手続きや財産処分について同意ができない

この状態になると、家族が代わりに判断することはできません。

相続は必ず次につながる出来事です。特に高齢社会では、その間隔が非常に短くなっています。
老老相続では、この時間とともに高まるリスクを前提に考える必要があります。

次に繋げる相続

相続は、相続登記をすることだけではありません。相続の各手続きを早く終わらせることだけでもありません。相続を、一度きりの出来事ではなく、連続する出来事として見据えなければなりません。

次の相続がいつ起きてもおかしくない、判断能力の問題が生じやすい、相続人が増える可能性が高い、という条件が重なるのが老老相続です。次の相続を想定したり、財産の行き先を考慮したり、手続きが滞らない形を対策する、ということを考えておくだけでも、のちの相続人の負担は大きく変わります。

相続は、終わらせることよりもつなげることが重要です。老老相続という言葉の裏には、その現実が隠れています。

03高齢者の財産の管理

相続実務の現場では、相続が発生する前の段階で、すでに問題が起きているケースが少なくありません。高齢化が進む現在、判断能力の低下や認知症のリスクを抱えながら生活する高齢者は増えています。こうした状況の中で、財産をどう管理するかは、将来の相続の行方を大きく左右する重要な問題です。今回は、高齢者の財産の管理についてを解説します。

高齢化社会と財産管理の問題

日本では、高齢単身世帯や高齢夫婦のみの世帯が増加しています。子どもがいない、あるいは子どもが遠方に住んでいる、疎遠になっているという家庭もめずらしくありません。

このような状況では、日常生活の問題だけでなく、預貯金の管理、不動産の管理、契約行為の判断などの財産の管理問題が発生します。本人だけでは対応できなくなる場面が出てくるのです。

この段階では相続の問題とは異なるかもしれませんが、相続の土台となる財産の管理が不安定になっているということは、相続の問題はすでにはじまっているといえます。

高齢者の財産管理とは

高齢者の財産管理とは、単にお金を預かることではありません。具体的には、次のような行為を含みます。

  • 預貯金口座の管理・解約・移動
  • 不動産の維持・修繕・売却
  • 有価証券や保険の管理
  • 各種契約の締結・変更・解約

これらはいずれも、本人の意思に基づく判断能力が前提となる行為です。つまり、財産管理とはお金の問題であると同時に、判断能力の問題でもあります。

相続と財産管理の深い関係

相続は、財産を次の世代へ引き継ぐ制度です。しかしその前提として、財産が適切に管理され、動かせる状態にあることが必要です。

相続の場面では、不動産の名義を変更する、財産を分ける、売却して換価する、といった財産を動かす行為が必ず発生します。ところが、生前の財産管理が十分ではない場面、これらの行為ができなくなることがあります。ここに、財産管理と相続が切り離せない理由があります。

判断能力低下・認知症のリスクが与える影響

高齢になるにつれ、判断能力が低下するリスクは誰にでもあります。認知症と診断されていなくても、金融機関や不動産業者から「本人の判断能力に不安がある」と判断されれば、取引が進まないこともあります。

判断能力に問題が生じると、預貯金の解約や大きな出金ができない、不動産を売却できない、相続対策や遺言の作成ができない、といった法律上の制度以前に実務上の壁として立ちはだかります。

事実上の財産凍結

判断能力が低下した高齢者の財産は、事実上「凍結」された状態になります。これは、金融機関が勝手に財産を止めているわけではありません。本人の意思確認ができない以上、取引ができないのは当然の対応です。

この状態になると、家族であっても勝手に引き出すことはできない、不動産の売却や担保設定もできない、相続税対策や生前贈与が不可能、という状況に陥ります。

財産は存在しているのに誰も動かせない、つまり実務でいう財産凍結の状態です。

家族でも代わりに管理できない理由

家族なのだから、代わりに管理できるのでは?、と思われる方も多いと思いますが、法律上、本人以外が当然に財産管理をできるわけではありません。

たとえ配偶者や子どもであっても、本人名義の預金を自由に動かすこと、本人名義の不動産を売却することはできません。これを可能にするには、法律に基づいた制度や契約が必要になります。

高齢者の財産管理は相続の入口

以上のように、高齢者の財産管理は、生前の問題でありながら将来の相続に直結しています。判断能力が低下したまま相続を迎えると、相続手続きが進まない、次の相続(老老相続)で問題が拡大する、家族が大きな負担を背負う、といった結果につながります。

高齢者の財産管理は、相続とは別の話ではなく、相続の入口として最初に考えるべき問題なのです。

04成年後見制度は相続にどう影響するのか

高齢者の財産管理が相続の入口であり、判断能力の低下や認知症のリスクによって相続そのものが動かなくなる現実がありますが、そのような場面で利用されることの多い成年後見制度について、相続との関係に焦点を当てて解説します。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方について、家庭裁判所が選任した後見人等が、本人を法律的に支援する制度です。判断能力の低下によって、契約や財産管理が困難になった場合に、本人の利益を守ることを目的としています。

成年後見制度には、大きく分けて次の二種類があります。

  • 法定後見制度
  • 任意後見制度

どちらも相続と深く関係しますが、性質や使われ方は大きく異なります。

法定後見制度

法定後見制度は、すでに判断能力が低下している場合に、家庭裁判所の審判によって開始される制度です。本人の判断能力の程度に応じて、次の3類型に分かれます。

  • 補助(判断能力が不十分な方)
  • 保佐(判断能力が著しく不十分な方)
  • 後見(判断能力を欠く状態が通常の方)

いずれの場合も、家庭裁判所が後見人等を選任し、その監督のもとで財産管理が行われます。

法定後見制度の特徴

法定後見制度の最大の特徴は、本人の意思よりも保護が優先される点にあります。

  • 財産は原則として維持・保存
  • 大きな財産処分には家庭裁判所の許可が必要
  • 後見人は家庭裁判所の監督下に置かれる

このため、法定後見制度は自由に財産を使うための制度ではありません。

法定後見制度と相続の関係

法定後見制度が開始されると、相続に関して次のような影響が出ます。

  • 不動産の売却が原則として難しくなる
  • 相続税対策のための財産処分ができない
  • 生前贈与などの相続対策は認められない

これは、後見制度が本人の生活と財産を守ることを目的としているためです。
結果として、相続対策を行いたいと考えても、後見制度が開始された後では、できることが大きく制限されます。

任意後見制度とは

任意後見制度は、判断能力が十分にあるうちに、将来に備えて契約を結んでおく制度です。本人が予め選んだ任意後見人に対し、財産管理や生活に関する事務を委ねる内容を、公正証書で契約します。判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で、契約の効力が発生します。

任意後見制度の特徴

任意後見制度の特徴は、本人の意思を反映した設計ができる点にあります。

  • 誰に後見を任せるかを自分で決められる
  • どこまでの権限を与えるかを事前に決められる
  • 判断能力があるうちに準備できる

この点は、法定後見制度との大きな違いです。

任意後見制度にもある制約

任意後見制度は柔軟に見えますが、注意点もあります。

  • 効力発生後は、後見制度の一種となる
  • 家庭裁判所の監督下に置かれる
  • 相続税対策や自由な財産処分は原則できない

つまり、任意後見制度も万能な相続対策ではありません。

成年後見制度が相続を止める場面

実務上、特に問題になりやすいのが次のようなケースです。

  • 高齢配偶者が相続人となる(老老相続)
  • その後、判断能力が低下
  • 成年後見制度が開始
  • 不動産や預貯金が動かせなくなる
  • 次の相続が目前に迫る

この流れに入ると、相続手続きが極めて困難になります。
成年後見制度は本人を守る制度である一方、相続という観点では動きを止める制度になることがあります。

ここで誤解してはいけないのは、成年後見制度そのものが悪い制度ではないという点です。

  • 判断能力が低下した本人を守る
  • 不当な契約や財産侵害を防ぐ
  • 生活の安定を支える

という重要な役割を果たしています。問題は、相続を見据えた準備がないまま制度を使うことにあります。

相続の視点から見た成年後見制度の位置づけ

相続の観点から見ると、成年後見制度は次のように位置づけられます。

  • 財産を守る制度
  • 相続対策を行う制度ではない
  • 相続の「最終手段」として使われる制度

この点を理解せずに制度を利用すると、後からこんなはずではなかった、という結果になりがちです。

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