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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《財産分離後の管理と効力》

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相続が始まり、相続人や債権者の立場で「財産分離」を申し立てた後、その相続財産をどのように扱うかが重要になります。民法第943条〜第945条では、この「財産分離請求後の相続財産の管理」について定められています。

財産分離の目的は、相続人の個人財産と被相続人の財産をきちんと分けて清算することにありますが、その後の管理方法を誤ると、せっかく分けた意味がなくなってしまいます。家庭裁判所は、財産分離の請求があった場合に、相続財産の保全や管理に必要な処分を命じることができます(民法943条)。

たとえば、被相続人の預貯金や不動産を仮に凍結したり、専門家を「相続財産管理人」として選任して、債権者への弁済や財産の調査を進めたりする措置です。これは、財産分離の請求をしただけでは財産が自動的に守られるわけではないことを意味します。実際に保全・管理を行うのは、家庭裁判所の判断とその後の管理人の行動によって支えられています。

民法第943条
1. 財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2. 第27条から第29条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

民法第944条
1. 相続人は、単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理をしなければならない。ただし、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任したときは、この限りでない。
2. 第645条から第647条まで並びに第650条第1項及び第2項の規定は、前項の場合について準用する。

民法第945条
財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

善良な管理者の注意義務

民法第944条では「財産分離の請求後に相続人が財産を管理する場合の義務」が規定されています。
相続人が単純承認をした後でも、財産分離の請求があった際には、その財産を善良な管理者の注意をもって扱わなければなりません。
つまり、被相続人の財産を自分のもののように自由に処分してはいけないということです。

この注意義務は、民法918条(相続財産の保存行為)や926条(限定承認における管理)、940条(放棄者の管理義務)と同じ水準のものです。相続財産を「他人の財産」として誠実に扱う義務があるという点で共通しています。

たとえば、亡くなった方の家に残る家財道具や不動産を、他の債権者の権利が未確定な段階で勝手に売却したり処分したりすれば、後でトラブルになるおそれがあります。
このような行為は「管理義務違反」とされ、場合によっては損害賠償責任を負うこともあります。
したがって、財産分離の手続き中は、相続人であっても慎重に対応しなければならないのです。

管理人の選任と家庭裁判所の役割

民法第943条2項・第944条に基づき、家庭裁判所は必要に応じて相続財産管理人を選任できます。この管理人は、財産の目録作成、債権者への通知、債務の弁済、財産の処分などを行います。
いわば「財産分離後の執行責任者」です。

裁判所が選任する管理人には、弁護士や司法書士など法律実務に詳しい専門職が選ばれることが多いです。この管理人には、委任に関する民法645条〜647条・650条の規定が準用されます。
つまり、報告義務・善管注意義務・費用償還請求権などが認められ、報酬や立替費用の精算も可能です。この規定は、管理人が公正・中立な立場で職務を遂行することを保証するための仕組みです。

財産分離の効力

財産分離の効力については民法942条に明記されています。財産分離を請求した債権者や受遺者は、他の相続人の個人債権者よりも優先して相続財産から弁済を受けることができます。

これは、相続財産が混同して債権回収が不可能になるのを防ぐための重要な制度です。
たとえば、亡くなった人が多額の借金を抱えていた場合でも、財産分離を申し立てれば、相続人の個人財産を守りつつ、被相続人の財産から債権者が公平に回収できるようになります。

この優先弁済の原則があるため、相続財産に不動産や預貯金が含まれている場合には、債権者の立場からも極めて重要な手続きです。

不動産の登記による対抗要件

民法945条では、不動産の財産分離を他の権利者に主張するためには、登記を行うことが必要であると定めています。
たとえば、被相続人名義の土地や建物について財産分離が認められても、それを登記しなければ第三者に対抗できません。つまり、「登記=法的な保護の確定」という仕組みになっています。

この登記を怠ると、あとから別の債権者や相続人が権利を主張してきた場合に、財産分離の効力が及ばないおそれがあります。財産分離の実務では、登記のタイミングと内容が非常に重要であり、司法書士の専門知識が活かされる場面でもあります。

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