社会問題・老老相続
高齢の配偶者が相続人となり、その後すぐに次の相続が発生する「老老相続」。一度の相続で終わらせず、次の相続まで見据えることが重要です。老老相続が抱える法的リスクと対策を司法書士の視点で解説しています。
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高齢単身社会が生んだ相続以前の問題
新着 社会問題・老老相続相続という言葉を聞くと、多くの人は亡くなった後の手続きを思い浮かべるのではないでしょうか。遺産分割や相続登記、名義変更といった話は、確かに相続の中心的な場面です。しかし、司法書士として日々相談を受けていると、近年は相続がはじまる前から問題が起きているケースが急激に増えていると感じます。その背景にあるのが、日本社会の大きな構造変化です。 高齢単身・高齢夫婦世帯が当たり前になった社会 日…
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終わらない相続 ―老老相続
新着 社会問題・老老相続高齢単身社会の広がりによって、相続が「亡くなった後の話」ではなく、生前からすでに問題として始まっています。相続が実際に起きたあと、なぜ新たな問題が生まれやすいのかを整理します。その中心にあるのが、「老老相続」と呼ばれる構造です。 老老相続とは 老老相続とは簡単にいえば、高齢者が亡くなり、その相続人となる配偶者も高齢である相続を指します。特別な家庭の話ではありません。むしろ現在の日本で…
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高齢者の財産の管理
新着 社会問題・老老相続相続実務の現場では、相続が発生する前の段階で、すでに問題が起きているケースが少なくありません。高齢化が進む現在、判断能力の低下や認知症のリスクを抱えながら生活する高齢者は増えています。こうした状況の中で、財産をどう管理するかは、将来の相続の行方を大きく左右する重要な問題です。今回は、高齢者の財産の管理についてを解説します。 高齢化社会と財産管理の問題 日本では、高齢単身世帯や高齢夫婦…
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成年後見制度は相続にどう影響するのか
新着 社会問題・老老相続高齢者の財産管理が相続の入口であり、判断能力の低下や認知症のリスクによって相続そのものが動かなくなる現実がありますが、そのような場面で利用されることの多い成年後見制度について、相続との関係に焦点を当てて解説します。 成年後見制度とは 成年後見制度とは、判断能力が不十分な方について、家庭裁判所が選任した後見人等が、本人を法律的に支援する制度です。判断能力の低下によって、契約や財産管理が…
相続手続きの8ステップ
はじめて相続を経験する方向けに、具体的な相続の手続きを8ステップに分けて紹介しています。専門的な解説というよりももっと相続の実務的な趣旨です。できるだけわかりやすい言葉で紹介しています。相続は専門性の高い手続きが多いので、相続のお悩みは、まず司法書士にご相談するのがおすすめです。
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相続の開始 ― まず何をすべき?
相続手続きの8ステップ相続という言葉を聞くと、「手続きをすること」と思われがちですが、法律上の相続は、 被相続人(亡くなった方)が亡くなった瞬間 に自動的にはじまります。つまり、死亡届を出したかどうかに関係なく、被相続人が亡くなったその時点で、相続人の権利義務が発生しているのです。 相続する財産のなかには、預金口座や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金・保証債務などの「マイナスの財産」も同時に引き継がれ…
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相続人の確定 ― 誰が相続人になるの?
相続手続きの8ステップ相続の手続きを始めるとき、最初に行うべきことは 「相続人を正確に確定すること」 です。誰が相続人なのかを明らかにしなければ、遺産分割も相続登記も、銀行の名義変更も一切進められません。「長男だから」「妻だから」という思い込みで進めてしまうと、実際にはほかに相続人がいた場合、後になってトラブルに発展することもあります。相続人の確定は、感情ではなく戸籍の記録に基づいて判断されるのが原則です。 戸…
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財産の調査と確認 ― 資産と負債を正しく把握する
相続手続きの8ステップ相続という言葉を聞くと、多くの人は「財産を受け取る」ことを思い浮かべます。しかし実際の相続は、プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)をすべて引き継ぐ制度です。そのため、相続が発生したら最初に行うべきは「財産の全体像を把握すること」です。これを誤ると、思わぬ借金を抱えるリスクがあります。 財産調査の目的と重要性 財産調査の目的は、相続放棄や限定承認などの選択を正確に行うための基礎…
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相続放棄・限定承認の選択 ― 借金があるときの判断基準
相続手続きの8ステップ相続というと「遺産をもらう」というイメージが強いですが、実際にはプラスの財産だけでなくマイナスの財産、つまり借金やローン、未払いの税金などもすべて相続の対象となります。もし被相続人(亡くなった方)に負債が多かった場合、それを知らずに相続してしまうと、相続人が返済義務を負うことになります。そこで重要になるのが、民法で定められた「相続放棄」と「限定承認」という二つの制度です。 相続放棄 ― 一…
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遺産分割協議 ― 相続人全員で話し合う最も重要なプロセス
相続手続きの8ステップ相続手続きの“中心”となる話し合い「遺産分割協議」 相続が発生すると、被相続人(故人)が残した財産は、相続人全員の「共有状態」になります。つまり、土地や建物、預貯金や車などは、すべての相続人がそれぞれの持分に応じて共有している状態であり、誰か一人が勝手に処分したり名義を変えたりすることはできません。この共有状態を解消し、遺産を誰がどのように承継するかを相続人全員で話し合う手続きが「遺産分割…
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名義変更・相続登記 ― 不動産の手続き
相続手続きの8ステップ相続した不動産は必ず名義変更が必要 相続によって不動産を承継した場合、登記簿上の名義は自動では変わりません。法務局に「相続登記」を申請し、名義を相続人へ書き換える必要があります。不動産には土地と建物があり、登記簿もそれぞれ別に存在するため、名義変更は原則として土地と建物の双方について行います。これは相続の最終段階の中でも特に重要な手続きであり、適切に行わなければ、将来さまざまな支障が生じる…
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その他の名義変更 ― 預貯金・保険・証券・自動車の手続き
相続手続きの8ステップ相続手続きというと不動産の相続登記が注目されますが、名義変更が必要なのは不動産だけではありません。預貯金・生命保険・有価証券・自動車・公共料金など、名義をそのままにしておくと、大きなトラブルにつながるものが多くあります。これらの手続きは法律上の期限が明確に定められていない場合が多いものの、金融機関や行政が実務上求める書類の内容が厳格で、手続きが複雑化しやすいのが特徴です。 また、名義変更は…
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相続手続き完了後の確認 ― 将来のトラブルを防ぐために
相続手続きの8ステップ相続手続きは、不動産の相続登記や預貯金の名義変更が完了すれば一区切りですが、それで完全に終わりではありません。相続完了後の管理を怠ることで、将来大きなトラブルに発展することがあります。特に令和以降は、空き家問題の深刻化や法律改正が進んでおり、相続した不動産をどう管理するか、放置せず適切に対応できるかが、相続人にとって重要な責任となっています。 相続登記義務化について、こちらで詳しく説明して…
相続とは
相続とは、亡くなった方の財産を配偶者や子などが相続人となって引き継ぐことです。相続は被相続人が亡くなったことにより当然に発生し、自動的に相続人に受け継がれることを意味しますが、相続人が複数人いたり、相続財産がプラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も対象となります。相続の手続きは相続人にとって大きな負担となる場合もあるため、早めに取り掛かることが重要です。
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相続とは
相続とは相続について、民法の法文をもとに解説します。はじめて相続をする方に向けた解説をしていますので、できるだけわかりやすい言葉で表現するようにしています。当事務所は相続・遺言・相続放棄を専門とした司法書士・行政書士事務所です。相続をするにあたって、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。 相続とは ある人が亡くなったとき、その人の財産や権利・義務を残された家族や親族などが受け継ぐ…
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相続権や相続財産を回復する権利
相続とは相続回復請求権 不当に相続権を奪われた正当な相続人が、その相続権や相続財産を回復するために行使できる権利を相続回復請求権といいます。 第884条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。 相続回復請求権の意義 本条は、相続回復請求権が…
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相続の効力
相続とは相続の効力とは、被相続人の財産や権利・義務が相続人にどのように移転されるか、その影響や法律的な効力が発生することです。相続の効力には、法律で定められた権利義務の承継や、相続人の権利の範囲、相続財産の分割などが含まれます。 相続の一般的効力 第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。 …
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共同相続の効力
相続とは共同相続の効力 第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。 本条は、相続の開始から遺産分割までの共同相続人間の関係についてを定めています。 相続人が一人の場合は、被相続人の相続財産は単独で承継します。しかし相続人が複数人いる場合には、相続財産を全員が共有することになります。 遺言を残さなかった場合や遺言に残されていない相続財産がある場合は、遺産分割…
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預貯金の相続
相続とは銀行や郵便局などの預貯金は代表的な財産のため、ほとんどのケースで相続人同士で分割することになります。しかし原則として本人、または代理人しか預貯金口座から引き出すことができませんので、所定の手続きで相続人名義に変更しなければなりません。 被相続人の口座の凍結 被相続人が亡くなった際に、被相続人が名義人である口座の金融機関に連絡し、死亡した事実を伝えなければなりません。金融機関に連絡をす…
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土地・建物などの不動産の相続
相続とは不動産の相続は、被相続人が所有していた不動産(土地や家、マンションなど)を相続人が引き継ぐ手続きです。不動産の相続には遺産分割や登記など、重要な手続きがあります。 いわゆる相続トラブルの原因にもなりやすいのが不動産で、物理的な分割が難しいという問題もあります。相続人が多数にわたる場合は特に注意が必要です。 また、不動産を相続することによって、維持費や固定資産税などの経費がかかることも…
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祭祀財産の相続
相続とは祭祀財産の相続については、通常の相続財産とは異なる取り扱いがされます。民法では、祭祀財産の取り扱いについて特別な規定があります。 祭祀財産の相続 第897条1.系譜、祭具および墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って、祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。2.前項本文の場合において慣習が明…
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相続におけるプラスの財産とマイナスの財産
相続とは相続財産は、被相続人が残した財産や負債をすべて含みますが、これをプラスの財産とマイナスの財産に分けて考えます。 プラスの財産(積極財産) プラスの財産とは、相続人が相続することで得られる資産です。具体的には、次のようなものが含まれます。 不動産(土地、建物など) 預貯金 株式や投資信託などの有価証券 自動車 ゴルフ会員権 動産(家具や家電、骨董品…
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共同相続における権利の承継の対抗要件
相続とは2018年の相続法改正で、新たに「民法899条の2」が加わりました。これまでは、相続によって誰がどの財産をどのくらい受け取ったのかが外から見えにくく、特に「相続人以外の第三者(債権者など)」が不利益を受けることがありました。そこで、相続によって権利が変わった場合には、きちんと「第三者に対抗できる要件(=対抗要件)」を満たす必要があるというルールを明確にしたのです。 第899条の21.相続に…
相続人
被相続人(亡くなった方)の財産を受け継ぐ人を相続人と呼びます。相続人は配偶者や子などの法定相続人だけでなく、被相続人が生前にのこした遺言書で相続人が定められている場合もあります。法定相続人として定められているのは配偶者と血族です。配偶者は常に相続人となり、血族は子や直系尊属(被相続人の上の世代である父母・祖父母など直系の血縁がある者)、兄弟姉妹が相続人と認められます。
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相続人調査と相続人の確定
相続人相続が発生すると、相続人のあいだで遺産分割をすることになります。その際にとても重要なのが相続人の調査です。相続の手続きをするには、どのような相続人がいるかを調査して相続人を確定しなければなりません。相続人調査をしないと、遺産分割の際にトラブルが発生するおそれがあり、家族の不仲やさらには訴訟問題など、大きな紛争へとつながってしまうかもしれません。そのようなトラブルの原因を最大限に回避できるよう、相…
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財産を相続できる法定相続人
相続人法定相続 法定相続とは、民法で定める法定相続制に則って、相続人の範囲や順位、割合などにしたがって、被相続人(亡くなった人)の財産を承継することです。遺言書がのこされていない場合には、この法定相続制に則った分割で協議されます。 法定相続人 被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人の相続の順位は、第一に子、第二に直系尊属(父母や祖父母など)、第三に兄弟姉妹、と定めています…
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配偶者の相続権
相続人配偶者の法定相続分 配偶者は被相続人(亡くなった人)の配偶者であれば必ず相続人となります(民法890条)。婚姻の死亡解消に際して相続という方法で、財産関係の清算をするというものです。配偶者が受け取る遺産の割合(法定相続分)は、被相続人に他の相続人がいるかどうかによって異なります。 民法第890条被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は前条の規定により相続…
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内縁関係の相続
相続人内縁関係の相続については、法律上の婚姻関係がないため、民法では内縁の配偶者に相続権は認められていません。ただし、特定の条件や方法を用いることで、内縁の配偶者が財産を取得できる可能性もあります。 内縁関係とは 内縁関係とは、法律上の婚姻手続きをしていないものの、事実上夫婦として共同生活を営んでいる関係を指します。法律上の「配偶者」とはみなされないため、相続においては法定相続人として扱わ…
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婚姻外の子・胎児の相続
相続人非嫡出子の相続権 婚姻関係のある間に生まれた子を嫡出子(ちゃくしゅつし)といい、法律上婚姻関係にない間で生まれた子どものことを非嫡出子(ひちゃくしゅつし)といいます。いわゆる婚外子や隠し子です。 婚姻外の子どもも父親が被相続人の場合、その父に認知されていれば相続人となります。相続分については、平成25年12月の民法改正により非嫡出子も嫡出子も同額となります。(旧民法では、非嫡出子の相…
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養子の相続権
相続人養子の相続権 養子は、養親(養父母)の相続において、実子と同じように相続権を持ちます。民法上、養子は実子と法的に同じ立場とされ、養親の遺産を相続することができます。 養子の種類 養子には主に普通養子と特別養子の2種類があります。 普通養子普通養子は、成人した者が養子となる場合や、実子がいない家庭に養子が入る場合に用いられます。普通養子は養親の相続において実子と同じ権利を…
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代襲相続
相続人代襲相続とは 代襲相続とは、相続人が相続開始前に死亡していた場合や、相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合に、その相続人の子(直系卑属)が代わりに相続する制度です(民法第887条第2項、第889条)。この制度は、相続権が一世代上から一世代下へ引き継がれる仕組みであり、血縁関係を重視する相続法の特徴を反映しています。 代襲原因 代襲相続が発生する主な原因は次のとおりです。 …
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相続権の重複
相続人相続権の重複 相続人としての資格が重複する場合があります。つまり、一人に2つの相続人としての身分が重なる場合があるということです。民法上、法定相続人になりえるのは、被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。一人の相続人が、重複してこれらの身分を持ち合わせるケースが存在します。 相続人としての資格が重複した場合、相続分の決定は民法に明確に定められているわけではありません。遺産の割合…
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同時死亡の推定
相続人同時死亡の推定 同時死亡の推定とは、複数の人が死亡し、その前後関係が不明な場合に「同時に死亡したもの」とみなす民法上の制度です(民法第32条の2)。これは、死亡順による相続の不確定性を解消し、遺産分配の混乱を防ぐために設けられています。 民法第32条第2項失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義…
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特別縁故者
相続人特別縁故者とは 特別縁故者とは、被相続人と特別に親しい関係を持っていたものの、法定相続人には該当しない者のことを指します。この制度は、法定相続人がいない場合に、被相続人の財産をその特別縁故者に分与することを可能にするものです(民法第958条の2)。法定相続人がいなければ通常は財産が国庫に帰属しますが、被相続人と深い関係を持っていた者に財産を残すべきという趣旨からこの制度が設けられています。…
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法的に相続権を失う相続欠格
相続人相続においては、被相続人の財産を受け継ぐ資格を持つ相続人が、特定の事情によりその資格を失うことがあります。これを相続欠格と呼びます。相続欠格は、法律で定められた一定の重大な行為を行った者に適用され、相続権を自動的に失うものです。 相続欠格の規定 相続欠格は、民法第891条に規定されています。相続人としての資格を喪失する具体的な事由が定められており、これに該当する場合、相続を受けること…
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遺言による推定相続人の廃除または取消し
相続人推定相続人の廃除とは、被相続人が特定の推定相続人(通常は子や配偶者など)の相続権を奪う手続きのことです。通常、推定相続人には法定相続分が認められていますが、重大な理由がある場合に限り、被相続人の意思により相続権を剥奪することができます。 廃除の手続きは、家庭裁判所の許可が必要となり、被相続人が単独で決定できるものではありません。また、推定相続人が廃除されると、その者の直系卑属(子や孫)への…
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被相続人の意思で申立てる推定相続人の廃除
相続人推定相続人の廃除とは、相続権を持つ者に一定の非行があった場合に、被相続人がその者を相続から排除する制度のことをいいます。これは、民法第892条に規定されており、相続欠格とは異なって、被相続人が自らの意思で家庭裁判所に申し立てる必要があります。 この制度は、被相続人が生前に不仲であったり、深刻な対立があったりする相続人を強制的に除外できるようにするためのものです。ただし、廃除が認められるため…
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推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理
相続人被相続人が自らの意思で家庭裁判所に推定相続人の廃除を申立てたり、廃除を取り消したりすることができますが、推定相続人の廃除に関する審判が確定する前の遺産の管理について規定があります。 審判の確定は、相続人を確定させる重要な決定です。推定相続人には依然として法定相続権があるため、家庭裁判所による処分を命じて、遺産が不当に処分されないようにしたり、勝手に遺産分割協議を進めないようにしたりといった…
相続分
相続分は被相続人の財産を相続人が取得する割合です。相続分には法律で定められた法定相続分と遺言による指定相続分があります。遺言がある場合は指定相続分が優先されますが、遺留分を侵害すると請求が可能です。相続財産の具体的な分割は相続人同士の話し合いで決定されます。
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相続人が受け取る財産の割合
相続分相続分とは 相続が発生した際に相続人が受け取る財産の割合を相続分といいます。相続分は法律で定められている「法定相続分」と、被相続人の意思による「指定相続分」の2種類があります。相続分の割合は相続人の関係性や人数によって異なり、遺産分割の際に基準として用いられます。 法定相続分 第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めることによる。 一 子及び配偶…
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特別受益と相続分の調整
相続分特定の相続人が被相続人から生前に多額の贈与を受けていた場合、そのまま他の相続人と同じ割合で遺産を分けてしまうと、不公平な結果になりかねません。こうした不均衡を是正するために、特別受益という制度が設けられています。この制度は民法第903条に定められており、相続人の間で公平な相続が実現されるよう調整する仕組みです。 特別受益の相続分 第903条1. 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受…
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特別受益の対象となる贈与
相続分特別受益とは 相続人のうち特定の人が、被相続人から生前に特別に多くの財産(贈与や遺贈)を受け取っていた場合に、その分を相続財産に加えて、他の相続人との公平を図るための制度です。 特別受益とみなされる贈与 遺贈された財産 目的を問わずして、すべて特別受益財産として持ち戻しの対象になります。遺贈された財産は、相続開始の時点では相続財産に含まれているもので、贈与された財産のよう…
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配偶者への居住用不動産の贈与・遺贈
相続分特別受益とは 相続人のうち特定の人が、被相続人から生前に特別に多くの財産(贈与や遺贈)を受け取っていた場合に、その分を相続財産に加えて、他の相続人との公平を図るための制度です。 配偶者への居住用不動産の贈与・遺贈 夫が亡くなったあと、妻(配偶者)がその家に住み続けられるかどうか非常に大きな問題です。もし、その自宅が相続財産の一部とされてしまうと、他の相続人との分割の対象となり、…
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被相続人を支えた相続人に報いる寄与分の制度
相続分相続の場面で、「長男が親の介護を何年もしてきたのに、他の兄弟と全く同じ相続分でいいのか」といった不公平感が生まれることがあります。これを是正するために設けられているのが「寄与分(きよぶん)」という制度です。 寄与分とは、共同相続人の中で、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした者がいれば、その貢献に見合った分を他の相続人より多く相続できるようにする仕組みです。民法904条の2に定められ…
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相続の秩序を守る制度、取戻権
相続分民法第905条では、「相続分の取戻権」について定めています。これは、共同相続人のうち一人が自分の相続分を、遺産分割が完了する前に無断で第三者に譲渡してしまった場合に、他の相続人がその持分を買い戻す(取り戻す)ことができるという制度です。 民法905条1.共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受ける…
相続の承認と放棄
相続の承認と放棄とは、被相続人の遺産を受け継ぐかどうかを相続人が選択できる制度です。すべてを引き継ぐ「単純承認」、財産と負債を限定的に引き継ぐ「限定承認」、一切受け取らない「相続放棄」があります。遺産の承認と放棄についてを解説しています。
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承認・限定承認・放棄の基本
相続の承認と放棄相続とは、人が亡くなったときに、その人が所有していた財産や借金を、一定の親族が引き継ぐ制度です。民法882条によって、相続は被相続人(亡くなった人)の死亡と同時に当然に開始されます。つまり、何か手続きをしなくても、自動的に「相続のスタート」が切られてしまうのです。 しかし、引き継がれるのは財産だけではありません。借金や未払いの税金など、マイナスの財産も含まれます。こうした相続財産全体を無条…
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承認・放棄の撤回と取消しのルール
相続の承認と放棄相続財産の管理義務 相続が始まったとき、相続人は財産を引き継ぐかどうかに関わらず、相続財産をしっかりと管理する義務を負います。民法918条はこれを定めています。 ここでいう「管理」とは、たとえば不動産を放置せず維持したり、現金を安全に保管したり、あるいは価値を保つための必要な手続きを行うことを意味します。ただし、この義務は無制限に続くわけではなく、相続を承認・放棄するまでの一時的なも…
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相続財産をそのまま引き継ぐ「単純承認」の効果とリスク
相続の承認と放棄相続が発生すると、相続人には「承認」または「放棄」という選択が与えられます。その中でも「単純承認」は、最も基本的かつ原則的な相続方法です。単純承認とは、被相続人(亡くなった人)の財産や借金などを一切合切すべて無条件に受け継ぐことを意味します。 たとえば、父が亡くなり、自宅や預金といった財産が残されていた場合、それだけでなく住宅ローンなどの借金があっても、これをすべて「そのまま」受け継ぐのが…
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限定承認の意義と制度の目的
相続の承認と放棄限定承認とは 相続が発生すると、相続人は故人(被相続人)の財産だけでなく、借金や保証債務などの「負の遺産」も引き継ぐ可能性があります。このとき、相続人は次の三つの選択肢の中から一つを選ぶことができます。 単純承認(すべてを相続する) 相続放棄(何も相続しない) 限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの債務を引き継ぐ) 限定承認は、この中で最も「中間的」な選択肢…
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限定承認の効果と手続き・管理義務と財産目録の作成
相続の承認と放棄限定承認後の管理義務 相続人が限定承認を選んだとしても、すぐに自由に相続財産を使えるわけではありません。限定承認をした相続人には、「相続財産の管理義務」が課されることになります。この管理義務とは、亡くなった人の遺産を自分の財産と同じように注意をもって管理し、勝手に処分したり使い込んだりしない義務のことです。 この義務は、単純承認や放棄と違って限定承認を選んだ者に特有の責任です。債権者…
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限定承認の実務と共同相続人の扱い
相続の承認と放棄限定承認後、相続人は財産の管理義務を負います。特に不動産や動産などの処分を行うには、家庭裁判所の許可が必要です(民法第928条など)。これは、勝手な処分によって債権者の利益が損なわれるのを防ぐためです。ただし、債務返済や財産の維持管理のためにやむを得ず処分する場合、許可を得れば可能です。処分した財産の代金は、債権者への弁済に充てることになります。 また、債権者との間でトラブルが起きた場合に…
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限定承認者に課される公告義務と弁済の優先順位
相続の承認と放棄限定承認者の公告・催告義務と弁済手続きの全体像 限定承認とは、相続人が相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務や遺贈を弁済する制度です。相続人が限定承認を選択した場合、債務の全額を無制限に引き継ぐわけではないものの、その代わりに民法上定められた厳格な手続が求められます。民法第927条〜935条等にもとづき、限定承認者に課される公告・催告の義務と、債権者・受遺者への弁済手続きについて解説…
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限定承認で守る相続人の権利と義務
相続の承認と放棄財産管理と処分に関するルール 限定承認が受理された後、相続人には重要な責任が生じます。その第一が、相続財産の管理と処分に関する義務です。 まず、相続人は故人の遺産(不動産、預貯金、動産、株式など)を、自分自身の財産とは明確に分けて扱う必要があります。限定承認では、相続財産を「債務弁済のための原資」として確保する義務があるからです。原則として、これらの財産を勝手に処分することは禁止され…
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限定承認における相続財産管理人と相続債権者の役割
相続の承認と放棄相続財産管理人が選任される場面 限定承認を選択した相続人が複数いる場合や、相続財産に関して利害関係が複雑なときには、「相続財産管理人」という第三者が必要になることがあります。これは、相続人が共同して限定承認を行った場合において、財産の管理や清算を中立的に、かつ確実に進める必要があるためです。 民法936条は、このような場合に家庭裁判所が相続人の中から「職権をもって」相続財産管理人を選…
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相続放棄の効果と注意点
相続の承認と放棄相続放棄の効力が及ぶ範囲 相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産や借金を一切相続しないとする法的な意思表示です。放棄が認められると、その人は「初めから相続人ではなかった」ものとみなされます。 民法939条相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。 これによって、相続財産の中に借金や保証債務があっても、放棄をすればそれらを引き継ぐ義…
相続放棄の疑問集
相続放棄は「相続人としての立場を最初からなかったことにする」という非常に強力な制度です。この『相続放棄の疑問集』では、法律を知らない方にも理解できるよう、相続放棄に関するよくある質問をわかりやすく解説します。
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よくわかる相続放棄の疑問集:基礎編
相続放棄の疑問集相続放棄は、相続人としての立場を最初からなかったことにする強力な制度です。しかし、家庭裁判所での申述という厳格な手続きを踏まなければならず、期限を過ぎれば自動的に相続を承認したことになります。判断を誤れば、予想外の借金を背負うことになるため、知識と準備が欠かせません。そのため、手続きの流れや必要書類、注意点を正しく理解しておくことが、安心して相続放棄を行う第一歩となります。相続放棄について疑問集…
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よくわかる相続放棄の疑問集:実務編
相続放棄の疑問集相続放棄は、制度を知っているだけでは十分ではなく、実際の手続きや運用方法を理解してこそ安心して進められるものです。申述の期限管理、必要書類の収集、家庭裁判所とのやり取りなど、実務には細かい注意点が多く存在します。わずかな不備や遅れが手続きの無効につながる場合もあるため、正確な知識と段取りが不可欠です。相続放棄の現場でよく直面する具体的な疑問や注意点を取り上げ、トラブルを避けるためのポイントを解説…
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よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編1
相続放棄の疑問集相続放棄は、相続人としての立場を最初からなかったことにする強力な制度です。しかし、実際の現場では「期限を過ぎてしまった」「放棄したのに請求が届く」「親族とトラブルになった」など、想定外の問題が生じることも少なくありません。このトラブル編では、具体的な問題や例外的なケースを取り上げ、どう対処すべきかを解説します。 よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編1 Q1. 相続放棄の期限を…
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よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編2
相続放棄の疑問集相続放棄は、相続人としての地位を最初から失わせる制度ですが、実際には想定外の状況に直面することが多くあります。たとえば、相続人が誰もいなくなった場合や、亡くなった後に財産が発見された場合など、条文に書かれていない事態になることも珍しくありません。そうしたイレギュラーなケースを取り上げ、どのように扱われるのかを解説します。 よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編2 Q1. 自分が…
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よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編3
相続放棄の疑問集相続放棄は、想像以上に厳格な手続きが求められる手続きです。さらに皆さん、それぞれ複雑な事情を抱えていることも珍しいことではありません。誤解しやすいケースやたまに尋ねられる疑問を取り上げて解説いたします。 よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編3 Q1. そもそも専門家に相談しないと相続放棄は難しいでしょうか? 相続放棄は自分自身でも手続きすることができます。家庭裁判所に申…
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よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編4
相続放棄の疑問集厳格な手続きが必要とされる相続放棄ですが、こんなときはどうなる?と疑問をお持ちの方に、さまざまなケースを紹介しています。それぞれのご家庭で生じるケースを具体的に解説します。 よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編4 Q1. 相続放棄手続きを進めていたところ、当事者が亡くなってしまいました。相続はどうなりますか? 相続放棄の申述をしていても、裁判所で受理される前に本人が亡く…
財産分離
財産分離とは、相続人の財産と被相続人の財産を切り離し、公平な清算を行うための制度です。債権者や受遺者の請求により開始され、相続財産から優先的に弁済を受けられる仕組みで、相続人の個人財産を守る効果もあります。
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相続財産と個人財産を守る仕組み ― 財産分離とは
財産分離相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の財産だけでなく、借金などの負債も一緒に引き継ぐのが原則です。このとき、相続人が何も手続きをせずに遺産を使い始めると「単純承認」となり、被相続人の借金も自分の財産と同じように返済する義務を負うことになります。 こうしたリスクを避ける方法として、よく知られているのが相続放棄や限定承認ですが、実はもう一つ、「財産分離」という制度があります。財産分離とは…
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財産分離後の管理と効力
財産分離相続が始まり、相続人や債権者の立場で「財産分離」を申し立てた後、その相続財産をどのように扱うかが重要になります。民法第943条〜第945条では、この「財産分離請求後の相続財産の管理」について定められています。 財産分離の目的は、相続人の個人財産と被相続人の財産をきちんと分けて清算することにありますが、その後の管理方法を誤ると、せっかく分けた意味がなくなってしまいます。家庭裁判所は、財産分離…
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財産分離後の支払いと優先順位
財産分離財産分離の手続きが始まると、次に問題になるのは相続債権者や受遺者に対して、どのように弁済(支払い)を行うかという点です。相続が開始すると、被相続人(亡くなった方)の債務は相続財産に属しますが、これをそのままにしておくと、誰がどれだけ支払われるのかが曖昧になり、争いが生じやすくなります。 そのため民法は、相続債権者や受遺者が公正に弁済を受けられる仕組みを整えています。第946条〜第948条で…
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第二種財産分離―財産分離の完結と債権者保護の仕組み
財産分離相続が発生し、財産分離の手続きが進んでいくと、最終段階では「弁済をどのように行うか」「どこまで財産を分離できるのか」という問題が生じます。民法第949条・第950条は、この最終段階における手続きを定めた規定です。 財産分離の目的は、相続人の固有財産(自分の財産)と被相続人の財産を混ぜないことにありますが、債権者や相続人の関係が複雑な場合、どちらの財産から支払いがなされるのかを明確にする必要…
相続人不存在
相続人不存在とは被相続人が亡くなった際に亡くなった人の財産を相続する人がいない状態です。法定相続人がいない場合や法定相続人がいても相続放棄をした場合などが不存在となります。特別縁故者への財産分与国庫への帰属など、相続人不存在の場合に、遺産がどうなるのかを解説しています。
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特別縁故者に対する相続財産の分与
相続人不存在特別縁故者に対する相続財産の分与 特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に、被相続人と特別な関係を持っていた人物が遺産を受け取ることができる制度です。特別縁故者に対する財産分与は、家庭裁判所が「分与が適切である」と判断した場合にのみ行われます。 第958条1.前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相…
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相続人が見つからないとき
相続人不存在相続人の不存在 「相続人が存在しない」とは、被相続人が死亡したときに、相続人となるべき人が一人もいない状態をいいます。これは珍しいことではありますが、現実には次のような場合に生じることがあります。 法定相続人が誰一人いない(配偶者も子も、親兄弟もいない) 法定相続人が全員すでに死亡している 相続欠格または相続人廃除により全員が相続権を失った 相続放棄をしたため、誰…
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相続人不在時の公告と債権者対応
相続人不存在被相続人が亡くなったときに、誰も相続人がいない、または相続人の存在が明らかでない場合、民法上はその財産をそのまま放置するのではなく、一定の手続きを通じて、法的に処理していくことが定められています。 相続人探索の公告 相続財産管理人が選任された後、最初に実施される重要な手続が、「相続人がいるかどうかを確認するための公告」です。これは、相続人に名乗り出る機会を与えるための措置であり、民法…
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特別縁故者に対する分与
相続人不存在相続人がおらず、債権者や受遺者による請求も期限内になされなかった場合、相続財産は行き場を失った状態になります。しかしそのようなケースでも、被相続人と生前に深いつながりがあり、特に尽力してきた人が存在する場合があります。 同居して生活を支えてきた内縁の配偶者 看取りや介護を行った長年の友人 形式上の親族ではないが、実質的に家族同然に関わってきた者 たとえば、以上のような…
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最終的な財産の行き先
相続人不存在すべての段階を経てもなお、相続財産の帰属先がない場合に、最終的に財産がどう処理されるのでしょうか。 相続人がいない+縁故者もいないという状態 「相続人不存在」とは、単に相続人が不明というだけでなく、以下のすべてが完了してなお、法的に帰属先がないと確定した状態を意味します。 相続財産管理人の選任(民法952条) 相続人探索の公告(同条2項:6か月以上) 債権者・受遺…
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