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相続は越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所 相続ガイド《よくわかる相続放棄の疑問集:基礎編》

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相続放棄の疑問集

相続放棄は「相続人としての立場を最初からなかったことにする」という非常に強力な制度です。この『相続放棄の疑問集』では、法律を知らない方にも理解できるよう、相続放棄に関するよくある質問をわかりやすく解説します。

01よくわかる相続放棄の疑問集:基礎編

相続放棄は、相続人としての立場を最初からなかったことにする強力な制度です。
しかし、家庭裁判所での申述という厳格な手続きを踏まなければならず、期限を過ぎれば自動的に相続を承認したことになります。判断を誤れば、予想外の借金を背負うことになるため、知識と準備が欠かせません。
そのため、手続きの流れや必要書類、注意点を正しく理解しておくことが、安心して相続放棄を行う第一歩となります。相続放棄について疑問集としてまとめていますので、理解もしやすいと思います。

よくわかる相続放棄の疑問集:基礎編

Q1. 相続放棄とは何ですか?

相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産や借金など、すべての相続権を放棄する手続きです。一度相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになります。つまり、プラスの財産も借金も、一切引き継ぎません。

この制度は、被相続人に借金が多い場合や、相続争いに巻き込まれたくない場合などに利用されます。注意点としては、相続放棄をしても、故人の葬儀費用や香典返しなどは相続と別の範囲で負担する場合があることです。

Q2. いつまでに相続放棄をしなければなりませんか?

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。この3か月の期間を熟慮期間といいます。多くの場合、被相続人が亡くなった日を知った日が起算日になります。

ただし、被相続人に多額の借金があることを後から知った場合などは、その事実を知った日が起算日になることもあります。期間を過ぎると、自動的に相続を承認したことになり、相続放棄はできなくなります。

Q3. 相続放棄をすると財産が一切もらえなくなるのですか?

相続放棄をすると、プラスの財産(不動産、預貯金、株式など)も一切取得できません。借金を避けられる反面、現金や土地など有利な財産も受け取れなくなるため、よく考えてから決断する必要があります。

もし財産の中にどうしても残したいものがある場合は、相続放棄ではなく限定承認を検討する方法もあります。限定承認は、プラスとマイナスの財産を精算して、余りがあれば相続できる制度です。

Q4. 相続放棄の申述は取り消せますか?

原則として、相続放棄は一度受理されると取り消せません。
ただし、脅迫や詐欺によって申述をさせられた場合など、民法で定められた一定の理由があるときには、家庭裁判所に取り消しを求めることができます。

また、申述をした後でも、家庭裁判所で審理中であれば申述の撤回が認められることもあります。
ただし、これは非常に例外的な扱いなので、申述前に慎重に判断することが大切です。

Q5. 借金があることを知らずに相続してしまった場合はどうなりますか?

もし相続放棄の期限(3か月)を過ぎてしまっても、「相続財産に借金があることを知らなかった」「知らないことについて重大な過失がなかった」と認められれば、例外的に相続放棄が認められる場合があります。

たとえば、被相続人の生前、関係が疎遠で財産や借金の状況をまったく知らなかったケースです。この場合は、借金の存在を知った日から3か月以内に手続きする必要があります。

Q6. 相続放棄をすると次に誰が相続人になるのですか?

相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったことになります。そのため、次の順位の相続人に権利が移ります。

たとえば、被相続人に配偶者と子がいる場合、子全員が相続放棄をすると、配偶者と被相続人の親が相続人になります。次の順位への移行を見越して、家族全員で放棄するかどうかを検討する必要があります。

Q7. 相続放棄をしても遺品整理や形見分けはできますか?

相続放棄をしても、遺品整理や形見分けは可能です。ただし、価値のある財産を勝手に処分すると「単純承認」とみなされるおそれがあります。
たとえば、高価な時計や車を売却してしまうと、相続を承認したと判断される可能性があるため注意が必要です。

Q8. 放棄をしても連帯保証人の責任は消えますか?

相続放棄をしても、相続人個人として負っている債務や連帯保証人としての責任は消えません。相続放棄で消えるのは、被相続人から引き継ぐ債務だけです。自分が契約した保証債務や借金はそのまま残ります。

Q9. 他の相続人に関係なく、自分だけ相続放棄できますか?

可能です。相続放棄は相続人ごとに個別に行うことができ、必ずしも他の相続人と足並みをそろえる必要はありません。
たとえば、兄弟姉妹3人が相続人の場合、そのうち1人だけが相続放棄し、残り2人は相続を承認するという選択も可能です。

ただし、自分が放棄すると、次順位の相続人(自分の子や、別の親族など)に相続権が移るため、結果的に家族や親族に負担をかけてしまう可能性があります。そのため、放棄する際は事前に周囲と情報共有しておくことが望ましいです。

Q10. 相続放棄をしても葬儀費用は払う必要がありますか?

葬儀費用は、相続財産から支払うのが原則ですが、足りない場合は喪主や親族が負担することもあります。相続放棄をしても、葬儀費用の負担義務は相続法とは別の観点から発生する可能性があります。
特に喪主になった場合は注意が必要です。

02よくわかる相続放棄の疑問集:実務編

相続放棄は、制度を知っているだけでは十分ではなく、実際の手続きや運用方法を理解してこそ安心して進められるものです。申述の期限管理、必要書類の収集、家庭裁判所とのやり取りなど、実務には細かい注意点が多く存在します。わずかな不備や遅れが手続きの無効につながる場合もあるため、正確な知識と段取りが不可欠です。相続放棄の現場でよく直面する具体的な疑問や注意点を取り上げ、トラブルを避けるためのポイントを解説します。

よくわかる相続放棄の疑問集:実務編

Q1. 相続放棄はどこで手続きをするのですか?

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述します。郵送での申述も可能ですが、不備があれば差し戻されるため、内容を慎重に確認する必要があります。

申述書には以下のような書類が必要です。

  • 相続放棄の申述書(家庭裁判所の書式)
  • 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 収入印紙
  • 郵便切手(裁判所によって金額が異なる)

Q2. 放棄が受理されるまでの期間はどのくらいですか?

相続放棄申述書を提出してから受理されるまでの期間は、家庭裁判所によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度です。書類に不備があればさらに時間がかかります。

Q3. 申述が認められないことはありますか?

認められないことがあります。期限を過ぎている場合や、放棄前に財産を処分している場合などです。特に処分にあたる行為は広く解釈され、現金の引き出しや物品の売却などはもちろん、債務の返済や財産の名義変更も該当します。

Q4.複数の相続人が同時に放棄する場合、まとめて申述できますか?

いいえ、できません。相続放棄は相続人ごとに独立した手続きです。それぞれが個別に申述書を提出し、受理してもらう必要があります。

Q5. 他の相続人と連絡が取れなくても手続きできますか?

相続放棄は、他の相続人と連絡が取れなくても単独で行えます。

家庭裁判所はあくまで申述人本人の意思を確認するため、他の相続人の同意や署名は不要です。
ただし、自分が放棄すると相続権が次順位に移るため、その影響を他の相続人が受ける可能性があることは理解しておくべきです。

Q6. 放棄した事実は誰に通知されますか?

家庭裁判所が相続放棄を受理すると、その旨が他の相続人や利害関係人に通知される場合があります。特に債権者からの照会に対しては、裁判所や申述人が放棄証明書を提出することで対応します。

Q7. 放棄証明書はどうやってもらうのですか?

相続放棄証明書は、家庭裁判所に交付申請を行うことで入手できます。債権者や金融機関から求められる場合があるため、必要に応じて発行を依頼しましょう。発行には手数料がかかります。

Q8. 放棄後に相続財産管理人の選任が必要になることがありますか?

あります。放棄により相続人がいなくなった場合や、次順位の相続人がすべて放棄した場合、利害関係人や債権者が家庭裁判所に申し立てて相続財産管理人を選任します。この手続きは債権者保護のために重要です。

Q9. 海外在住でも相続放棄はできますか?

可能です。海外からも日本の家庭裁判所に郵送で申述できます。ただし、署名や証明のために在外公館での認証を求められる場合があります。

Q10. 相続放棄の事実を金融機関にどう伝えますか?

金融機関から被相続人の債務支払いを求められた場合、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」を提出します。これにより支払い義務がないことを証明できます。

03よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編1

相続放棄は、相続人としての立場を最初からなかったことにする強力な制度です。
しかし、実際の現場では「期限を過ぎてしまった」「放棄したのに請求が届く」「親族とトラブルになった」など、想定外の問題が生じることも少なくありません。
このトラブル編では、具体的な問題や例外的なケースを取り上げ、どう対処すべきかを解説します。

よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編1

Q1. 相続放棄の期限を過ぎても放棄できますか?

相続放棄は「相続開始を知ったときから3か月以内」に申述しなければならないと民法915条で定められています。

しかし、期限を過ぎても例外的に認められることがあります。たとえば、被相続人に借金があることを知らず、かつ知らないことに重大な過失がなかった場合です。最高裁判例でも借金の存在を知らず、かつ通常の注意を尽くしても知り得なかった場合には、起算点を後ろ倒しできるとしています。

期限を過ぎたとしても裁判所に放棄の申述をする余地はありますが、厳格な審査があることは確かで、認めてもらえないことが十分にありえますから、相続開始を知ったときから3か月以内に申述することを念頭においておきましょう。

Q2. 相続放棄をしたのに債権者から請求が届きますが?

相続放棄が受理されても、債権者がその事実を知らない場合、請求が届くことがあります。
この場合は、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」を債権者に提示すれば、請求は止まります。

ただし、放棄が無効となる事情(例:財産の処分をしていた)があれば、債権者は支払いを求めることができます。そのため、証明書を提出しても請求がやまない場合には、司法書士や弁護士を通じて対応するのが安全です。

Q3. 相続放棄が無効になるのはどんな場合ですか?

相続放棄は厳格な手続きで行う必要があるため、一定の場合に無効とされます。無効とされた一般的なケースは以下のとおりです。

  • 期限(3か月)を過ぎていた
  • 放棄前に財産を処分していた(単純承認とみなされる)
  • 財産の存在を知りながら「なかった」と虚偽の申告をした

特に「処分」とみなされる行為は幅広く、現金の引き出し、不動産の売却だけでなく、債務返済や不動産登記の変更も含まれます。

Q4.複数の相続で放棄と承認を分けられますか?

はい、分けることができます。
相続放棄はどの相続について放棄するかを選べるため、父の相続は放棄し、母の相続は承認するといったことも可能です。

ただし、一度承認した相続については放棄できません。反対に、一度放棄した相続についても後から承認はできません。それぞれの相続ごとに慎重に判断する必要があります。

Q5. 未成年の相続放棄はどうなりますか?

未成年者も相続放棄ができますが、法定代理人(親など)が代理して申述します。
ただし、親自身も相続人であり、子どもと利益相反が生じる場合は子の相続放棄手続きを親が代理することはできません。家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申立て、選任された特別代理人が子の相続放棄手続きを代理することになります。
これは、親が自分の利益のために子の放棄を勝手に決めるのを防ぐための制度です。

Q6. 相続放棄しても生活保護や税金に影響することはありますか?

相続放棄自体は生活保護や税金に直接の影響を与えません。相続税の申告義務は、放棄をしたことで相続人として存在していないため、税務上の負担はありません。

Q7. 放相続放棄したのに固定資産税の納付書が届きました。なぜでしょうか?

これは、相続登記や財産の名義変更がされていないことが原因と考えられます。放棄をしても、登記上はまだ被相続人の名義のままであるため、市区町村が「相続人代表者」として通知を送ってきているはずです。
この場合は、相続放棄の証明書を提出して対応します。放棄していれば法的義務はありません。

Q8. 相続放棄と限定承認はどう違うのでしょうか?

少し似た意味合いで理解されている方もいらっしゃいますが、相続放棄は、すべての財産や債務を引き継がない制度です。一方、限定承認は「プラスの財産を限度にマイナスの債務も返済する」という制度です。

たとえば、相続財産が1,000万円で借金が800万円なら、差額の200万円だけを相続できることになります。限定承認は相続人全員で行う必要があるため、単独でできる放棄とは大きく異なります。

「800万円の借金だけを相続放棄する」ことを希望される方がいらっしゃいますが、これは相続放棄ではなく限定承認です。

Q9. 相続放棄をしてほしいと遺言があったのですが、どうするべきでしょうか?

遺言で「〇〇には相続放棄をしてほしい」と記されていたとしても、その記載には法的拘束力はありません。相続放棄は、相続人が自分の意思で家庭裁判所に申述して行うものであり、被相続人の遺言で強制することはできないからです。

ただし、そのような遺言が残されている場合、相続全体の分配を考慮しての意図(たとえば「長男に家業を継がせたいので他の子は放棄してほしい」など)があるかもしれません。遺言の趣旨を尊重したい場合は、放棄ではなく遺産分割協議で相続分を主張しないという形でも対応できます。

Q10. 家族が放棄に反対しているのですがどうしたらいいですか?

相続放棄は相続人ごとに独立した手続きであり、他の相続人の同意は不要です。相続を放棄したいあなただけの判断でする手続きです。
ただし、放棄によって次順位の相続人に債務が移るため、親族から反対されることがあります。

このような場合には、相続放棄の理由や経済状況を丁寧に説明し、証拠書類(借金の契約書など)を示すと理解を得やすくなります。
最終的に争いが深刻化した場合は、司法書士などの専門家を介して対応するのが現実的です。

04よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編2

相続放棄は、相続人としての地位を最初から失わせる制度ですが、実際には想定外の状況に直面することが多くあります。
たとえば、相続人が誰もいなくなった場合や、亡くなった後に財産が発見された場合など、条文に書かれていない事態になることも珍しくありません。
そうしたイレギュラーなケースを取り上げ、どのように扱われるのかを解説します。

よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編2

Q1. 自分が相続放棄をしたら、相続人が一人もいなくなります。どうなりますか?

すべての相続人が相続放棄をすると、相続人がいない状態になります。この場合、家庭裁判所により相続財産管理人が選任され、財産の管理・清算が行われます。
債権者や受遺者への支払いを済ませてもなお財産が残ると、特別縁故者(生前に被相続人を支えていた人など)に分与されることがあります。
それでも余剰があれば、最終的に財産は国庫に帰属します。

Q2. 過去に相続放棄をしましたが、後になってから被相続人の新たな財産が見つかりました。どうなりますか?

相続放棄をすると、その相続については最初から相続人でなかったことになります。
したがって、後日どれだけ財産が見つかっても、相続放棄をした者が受け取ることはできません。
財産が新たに見つかったことで「もし知っていれば放棄しなかった」と感じる人もいますが、放棄の効果は変わりません。

相続放棄をしたのちに新たに借金が見つかった場合に、相続放棄をした者が一切無関係であることと同様の性質です。

相続放棄は撤回できないため、こうした後悔を防ぐためには、放棄前に専門家へ相談して、できるだけ徹底的に財産を調査することが大切です。

Q3. 父に多額の借金があるので、亡くなる前に相続放棄をしたいです。

被相続人が亡くなる前(相続が開始する前)に相続放棄をすることはできません。

相続放棄は「相続の開始」があって、はじめてできる手続きであり、被相続人が生きている間に放棄をすることはできません。
仮に「相続しません」と口約束をしても法的には無効です。

相続開始前にできる準備としては、財産や借金の調査、死亡後すぐに申述できるよう必要書類を集めておくことなどです。
特に、処分とみなされる行為は幅広く、現金の引き出し、不動産の売却だけでなく、債務返済や不動産登記の変更も含まれます。

Q4. 相続放棄の手続きはどのくらいかかるのでしょうか。そのあいだに期限を過ぎてしまわないのでしょうか。

相続放棄の申述を家庭裁判所に提出してから、受理されるまでの期間は、およそ3週間ほどです。その間に熟慮期間(3か月)が過ぎてしまっても、提出日が期限内であれば問題ありません。
つまり、申述書を裁判所に提出した時点で期限内に申述したと扱われるため、受理までの審査期間を心配する必要はありません。

ただし、一度承認した相続については放棄できません。反対に、一度放棄した相続についても後から承認はできません。そして、相続放棄が認められないことがあることも忘れてはいけません。相続放棄は厳格な審査のため、何らかの理由で認められないこともありえます。それぞれの相続ごとに慎重に判断する必要があります。

Q5. 存在を初めて聞くあまりにも遠い親戚が亡くなったとのことで放置していますが、相続放棄をしなければなりませんか?

法定相続人に該当するのであれば、放棄を検討する必要があります。
遠い親戚の相続なんて関係ないと思っていても、相続人に該当すれば相続債務を背負うおそれがあるためです。相続放棄は、相続開始を知ったときから3か月以内が熟慮期間になるため、放置せずに必ず期限内に判断して手続きをしてください。

遠い親戚だから放置してしまう方がいるのは実は少なくありません。相続人の範囲に含まれていれば債務のリスクは同じです。放置していたら借金を背負っていた、ということにならないよう専門家に相談するのが賢明です。

Q6. 相続放棄と相続欠格や廃除はどう違いますか?

相続放棄は、相続人が自らの意思で相続人の立場を放棄する制度です。

一方、相続欠格は法律で一定の行為(被相続人を殺そうとした、遺言を偽造した等)があった場合に自動的に相続権を失う制度です。
廃除は、家庭裁判所の審判によって著しい非行のある相続人を廃除する制度です。

つまり、放棄は「自己判断」、欠格・廃除は「法律または裁判による強制」という違いがあります。

Q7. 相続放棄をすると戸籍に記録が残るのですか?

相続放棄をしても戸籍に「放棄しました」と記載されることはありません。
家庭裁判所に提出した申述書や受理証明書にのみ記録され、戸籍には影響がないため、結婚や就職など日常生活に不利に働くこともありません。

Q8. 公正証書で遺言がありますが、相続放棄してもいいのですか?

公正証書遺言があっても、相続放棄は可能です。遺言の有無にかかわらず、相続人は「承認するか、放棄するか」を自分の意思で選ぶことができます。

ただし、注意すべき点があります。

  1. 遺言の内容は尊重されるが、強制力はない
     「遺産を長男にすべて相続させる」と遺言に書かれていても、あなたが相続人である限り相続放棄を強制されることはありません。
  2. 放棄をすると受け取れるはずの財産もなくなる
    遺言で特定の財産を遺贈されていたとしても、相続放棄をすればそれも受け取れません。相続放棄は相続人の地位そのものを失わせるためです。
  3. 受遺者としての立場があるかどうか
    もし遺言で「相続人として」ではなく「受遺者として特定の財産を渡す」と指定されていれば、放棄した後でもその部分は受け取れるケースがあります。(たとえば、相続放棄をしても、遺言で「長男の妻に○○を遺贈する」とされている場合、妻は相続人ではないので放棄の影響は受けません。)

Q9. 相続放棄したことを親族に知らせる義務はありますか?

法律上の義務はありませんが、放棄によって次順位の相続人に負担が移るため、知らせなければ親族間でトラブルになる可能性があります。
実務上は早めに伝えておくことが望ましいです。

Q10. 相続放棄をしたのに遺産分割協議に呼ばれました。参加する必要はありますか?

相続放棄をしたので遺産分割協議に参加する必要はありません。相続放棄をすれば、最初から相続人でなかったという扱いになります。
したがって、遺産分割協議に加わる必要も署名押印も不要です。もし他の相続人から協力を求められた場合は、放棄証明書を提示すれば十分です。

05よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編3

相続放棄は、想像以上に厳格な手続きが求められる手続きです。さらに皆さん、それぞれ複雑な事情を抱えていることも珍しいことではありません。
誤解しやすいケースやたまに尋ねられる疑問を取り上げて解説いたします。

よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編3

Q1. そもそも専門家に相談しないと相続放棄は難しいでしょうか?

相続放棄は自分自身でも手続きすることができます。家庭裁判所に申述書を提出し、必要な戸籍や住民票を添付すれば受理されます。

ただし、実務上は次のような場面でつまずく人が少なくありません。

  • 戸籍の収集が複数の市区町村にまたがり、時間がかかる
  • 期限まで残りが短く、急いで提出する必要がある
  • 借金や保証契約の有無が不明確で調査に手間取る

そして、申述したからといって確実に認められる手続きではないことを忘れないでください。全員が全員、相続放棄の手続きをして完了できる者ではないので、多くの場合が司法書士などの専門家へ相談されています。
司法書士などの専門家に依頼すれば、書類収集や申述書作成、裁判所への提出をスムーズに進められます。安心して確実に手続きをしたいなら専門家に相談するのが得策です。

Q2. 相続放棄をした方がいいケースと、しない方がいいケースを知りたいです。

それぞれの状況によって変わりますので、一概に申し上げることは難しいのですが、一般的に以下のように考えられます。

放棄をした方がよいケース

  • 債務が財産を大きく上回る場合
  • 事業の負債や保証債務があり、リスクが高い場合
  • 不動産が老朽化しており維持管理や税金の負担が重すぎる場合

放棄をしない方がよいケース

  • プラスの財産が多い場合(借金よりも資産が明らかに大きい)
  • 不動産や家業などを承継して利用する意向がある場合
  • 保険金や退職金など、相続放棄しても受け取れる財産と組み合わせて有利になる場合

あくまでも一般的な例ではありますが、しっかりと細かく財産調査をして、メリット・デメリットを比較することが重要です。

Q3. 相続放棄をしたことが知られるのは嫌なのですが、大丈夫ですか?

相続放棄の事実は、家庭裁判所の記録に残ります。他の相続人や債務者が家庭裁判所に照会すれば放棄した事実は確認できます。

なお、就職や結婚、日常生活に不利益が生じることはありません。

Q4. 親戚から相続放棄をしてほしいと連絡があったのですが、そうするべきか相談してもよいのでしょうか?

はい、必ず相談してください。相続放棄は「本人の意思」で行うものであり、他人の要請で決めるものではありません。特に「放棄してくれれば私が相続する」といった依頼は、親族間の利害が絡むため注意が必要です。
内容を理解しないまま放棄すると、予想外の借金を避けられたとしても、本来受け取れたはずの財産を失うかもしれません。

Q5. 遺産分割協議で、他の相続人たちに相続を放棄すると伝えました。それで手続きをしておいてもらえるのでしょうか?

他の相続人に代行して手続きしてもらうことはできません。
遺産分割協議で「私は相続しません」と発言しても、それは法的な相続放棄にはなりません。相続放棄は必ず家庭裁判所への申述によって行う必要があります。
遺産分割協議の場で相続放棄をする旨を伝えても、他の相続人が「あなたは相続放棄をする」と知るだけであって、法的な相続放棄をしたことになりません。

宣言したことで相続放棄をしたつもりになっていると、実際には相続人のまま残り、債務を背負うことになりかねませんので、専門家に相談をしてください。

Q6. 妊娠中なのですが、お腹の子の手続きも必要なのですか?

胎児も相続人となります(死産で生まれた場合は相続権はありません。生きて生まれた場合に限り、相続権が確定します)。

このため、妊娠中に父が亡くなった場合、胎児にも相続放棄の手続きをする必要があります。実務では、出生後に親が法定代理人として申述します。

Q7. 相続放棄をする前に、被相続人が所有していた不動産を売却してしまいました。相続放棄はできますか?

相続放棄をすることはできません。相続放棄をする前に財産を処分した場合、それは単純承認とみなされます。不動産の売却は典型的な処分行為にあたり、相続放棄は無効になります。
売却後も相続人として責任を負うことになります。

Q8. 自分が相続を放棄すると、被相続人の弟が次順位ですが、その叔父は独り身で認知症です。自分が何かできることはありますか?

次順位の相続人が認知症などで判断能力が不十分な場合、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要があります。相続放棄は厳格な意思表示を要する手続きであり、本人が判断できない状態では進められません。
放棄を検討するのであれば、後見人の選任が先決です。

Q9. 被相続人名義の家に同居していますが、相続放棄をしたあともその家に住むことができますか?

被相続人名義の家に同居していた場合、相続放棄をするとその家を使用する権利はなくなります。
ただし、すぐに退去を求められるわけではなく、相続財産管理人が選任されるまでの間は必要な範囲で使用を続けられることがあります。
しかし、勝手に売却したり賃貸に出すことはできません。

Q10. 相続放棄をするとお墓はどうなるのでしょうか?

お墓や仏壇などの祭祀財産は、一般の相続財産とは別に扱われます。「祭祀財産の承継者」が定められ、相続放棄をしても自動的に放棄の対象にはなりません。

具体的には、次のように承継者が決まります。

  1. 被相続人が生前に指定していた場合 → その人が承継
  2. 指定がなければ慣習に従う → 長男が継ぐなど地域の慣習
  3. 慣習もなければ家庭裁判所が決定

したがって、相続放棄をしても「お墓を守る役目」だけは残ることがあります。
ただしこれは借金などの負債とは切り離されており、経済的負担をともなう場合には他の親族と協議して分担することが可能です。

06よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編4

厳格な手続きが必要とされる相続放棄ですが、こんなときはどうなる?と疑問をお持ちの方に、さまざまなケースを紹介しています。それぞれのご家庭で生じるケースを具体的に解説します。

よくわかる相続放棄の疑問集:トラブル・応用編4

Q1. 相続放棄手続きを進めていたところ、当事者が亡くなってしまいました。相続はどうなりますか?

相続放棄の申述をしていても、裁判所で受理される前に本人が亡くなった場合、その効果は確定しません。したがって、その人は相続人のまま亡くなったことになり、その人の相続人(子や配偶者など)が改めて相続する立場になります。

一方、申述がすでに受理されていれば、本人が亡くなっても「最初から相続人ではなかった」扱いになるため、その人の子などに相続は移りません。

Q2. 事実上の相続放棄とはどういうことですか?

法律上の相続放棄は家庭裁判所での申述によって行いますが、それとは別に「事実上の相続放棄」と呼ばれる考え方があります。
これは、遺産分割協議の場で、自分の取り分を一切主張せず、何も受け取らない行為を指します。ただし、これはあくまで相続分を放棄したにすぎず、借金や負債は残ります。
法律上の相続放棄(裁判所手続き)とは全く異なる点に注意が必要です。

Q3. 被相続人が亡くなって、すぐに預貯金は引き出した方がいいと助言されたので現金を引き出しました。相続放棄をするのに影響はありませんか?

影響があります。被相続人の口座から預金を引き出す行為は「財産の処分」とみなされる可能性が高く、相続放棄が認められなくなることがあります。
ただし、葬儀費用や生活費のためにやむを得ず引き出した場合、例外的に処分とはみなされないケースもあります。
不安な場合は、必ず家庭裁判所や司法書士などの専門家に相談してください。

Q4. 被相続人が飼っていたペットを引き取ることは相続放棄に影響しますか?

ペットは法律上「モノ」で扱い「動産」となり、原則は相続財産です。しかし、実務上は影響しないと考えられています。そのため、相続放棄をしても、遺されたペットを引き取ることは可能です。
似た性質で形見分けのようなものがありますが、一般的にペットに経済的価値があるとはいえませんので、形見分けと同様に引き取る考えがほとんどです。
ただし、ペットにかかる費用(医療費・飼育費)は引き取った人の負担になります。

稀に、そのペットの希少価値が高く、引き取って高額で売却できるなどの事情がある場合は、単純承認とみなされる場合もあります。

Q5. 共同相続人が、他の相続人に相談なしで相続放棄をしたようです。勝手に相続放棄をしていいのですか?

相談なしに相続放棄することができます。相続放棄は相続人一人ひとりが独立して行うものであり、他の相続人の同意や相談は不要です。

ただし、その結果として次順位の相続人(被相続人の親や兄弟姉妹など)に権利が移るため、トラブルを避けるために事前に話し合っておくことが望ましいです。

Q6. 遺産分割協議が済んだあとに、考えが変わったので相続放棄をすることはできますか

できません。遺産分割協議に参加した時点で「相続を承認した」とみなされます。その後に放棄をしても無効となり、協議で決めた取り分や債務について責任を負うことになります。
放棄を検討している場合は、必ず協議の前に家庭裁判所へ申述してください。

Q7. 相続放棄をしても遺族年金は受け取れますか?

受け取れます。遺族年金や遺族厚生年金は、公的制度に基づく受給権であり、相続財産ではありません。そのため、相続放棄をしても受給資格を失うことはありません。
なお、受給するためには年金事務所などに所定の届出を行う必要があります。

Q8. 父の相続を放棄したのちに、叔父の相続はできますか?

できます。相続放棄の効果は「特定の被相続人についてのみ」およぶため、父の相続を放棄しても、叔父(父の兄弟)の相続には影響しません。それぞれの相続ごとに承認か放棄かを選ぶことができます。

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